2024.01.07
新築住宅のパントリーを後悔しないための“10”のコツ|創業50年の工務店社長が解説
すっきりと生活感のないキッチンにしたい方から人気の高い「パントリー」。
最近は注文住宅はもちろん、建売住宅へ採用されることも増えています。
しかし、残念ながらブログやSNSを見ると、マイホームへ取り入れて後悔している方は少なくありません。
そこで、「やっぱりパントリーは欠かせない」という方のために、多くの方が後悔している理由とその解決方法を紹介します。
マイホームの新築やリノベーションを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅でパントリーが人気の理由
パントリーとは、常温保存できる食料品や食器、日用品のストックを保管するためのスペースで、キッチンに併設して設けられます。
壁付け収納棚タイプから、人が入れて冷蔵庫や電子レンジなども収納できるウォークインタイプ、通路を収納スペースにするウォークスルータイプなど、プランは様々です。
最近は、備蓄飲料水や食品と合わせて防災用品を置く場所としているご家庭も少なくありません。
パントリーを作るメリットは、主に6点です。
- キッチンに雑物を置く必要がなくなり、すっきりとした清潔感のある状態を保ちやすい
- 料理中にあちこちから食料品や調味料、調理器具を出す必要がなく、効率的
- まとめ買いした食品や日用品を取り出しやすい場所に保管しやすい
- 家族の誰が見てもどこに何があるか把握しやすい
- 災害時用の保存食や飲料水をまとめて保管できる
- 食品や日用品の在庫を把握しやすく無駄な買い物を防げる
共働きのご家庭で休日にまとめ買いする方や、コストコなどを利用する方が増えていることもあり、注文住宅において、パントリーはもはや“定番”のスペースとなりつつあります。
しかし、いざパントリーのある家に住んでみると、「いらなかった」と後悔してしまったり、うまく使いこなせずデッドスペースになってしまったりするケースも少なくないのです。
【ブログやSNSで見る】パントリーを後悔する理由10選と解決方法
すっきりと片付けやすいキッチンに欠かせないのが「パントリー」ですが、ブログやSNSを見ると、「作らなければ良かった」と後悔している方も見かけます。
思うように収納できなかったり、単なる物置になってしまったりするケースも少なくないようです。
では、多くの方がパントリーを後悔してしまう理由とその解決方法を見てみましょう。
よくある後悔の理由は、以下の10項目です。
- 「狭くて使いづらい・収納量が足りない」
- 「広くて使いづらい」
- 「キッチン奥に作ったらアクセスしにくい」
- 「うまく収納できずデッドスペースだらけに」
- 「棚が深すぎて物を取りづらい・結局手前しか使わない」
- 「目隠しのために扉をつけたが、いちいち開け閉めが面倒」
- 「暗くて奥のものが見えづらい・照明を消し忘れがち」
- 「空気がこもってしまう」
- 「コンセントが足りなかった」
- 「そもそもパントリーはいらなかった」
「狭くて使いづらい・収納量が足りない」
キッチン近くの余った場所にパントリーを作ると、狭くて使いづらかったり収納しきれず結局キッチンが物で溢れてしまったりするケースも少なくありません。
パントリーは、キッチンの“サブ的空間”ではありますが、「とりあえず作ればいい」という訳ではありません。
実際に、狭いパントリーは思ったより収納できず、大きな物が置けないため、無駄なスペースになってしまっているお宅もあります。
まずは収納したいもののボリュームとサイズを把握して、それが納まりきるかどうかシミュレーションしてみましょう。
本格的なウォークインタイプのパントリーにしたい場合は、最低でも2帖(1坪=1.82m×1.82m)程度の広さが必要です。
冷蔵庫やその他のキッチン家電まで収納したい方は、3帖以上のスペースを想定しておきましょう。
壁付けの棚やウォークスルータイプのパントリーですと、棚の全長が1.5〜2m程度あるとまとまった収納量を確保できます。
「広くて使いづらい」
狭いパントリーが使いにくいのはイメージしやすいかもしれませんが、実は広くしすぎて後悔している方もいます。
パントリーを広くすればするほど収納量は増えますが、その分移動距離も長くなり、行き来が面倒になるからです。
ウォークインタイプでしたら、パントリーの中央に立って2〜3歩で全ての棚に手が届く程度の広さが最適です。
それ以上広くする場合は、単に収納スペースに留めるのではなく、ワークデスクを設置したり、家事室やランドリールームと併用するプランを検討してみましょう。
他の用途もプラスすることで、保管庫のスペースが凝縮され、物の出し入れが楽になります。
どのタイプであっても、パントリーの広さは、狭すぎても広すぎても使いにくくなる点に注意してください。
「キッチン奥に作ったらアクセスしにくい」
対面キッチンとカップボードの間を通り、その突き当たりにパントリーを配置するプランをよく見かけます。
キッチン単体で見ると、動線がコンパクトで効率良く家事ができそうですよね。
しかし、このようなプランでは、お米や水のボトルなど大きくて重い物をパントリーに運ぶ時や、誰かがキッチンに立っている時に物を出し入れしたい時に、動線が交わってスムーズに通れません。
また、冷蔵庫をパントリー内におきたい場合も、搬入できる機種が限られてしまうケースもあります。
そこでおすすめなのが、ウォークスルータイプのパントリーです。
こちらの事例では、玄関からパントリー兼シューズインクローゼットを通り、キッチンへ直接アクセスできるようにしました。
これでしたら、買い物から帰って靴を履いたまま荷物をパントリーへ運び入れられます。
このように、パントリーの位置は調理中だけではなく、物を収納する際もイメージすることが重要です。
「うまく収納できずデッドスペースだらけに」
家のプランを検討する際、設計士はもちろん使いやすいパントリーを目指しますが、全てを任せて後悔してしまう方もいます。
いざ物をしまってみると、中途半端なスペースだらけになって、片付けにくいだけではなくスペースを生かしきれないと後悔する方が多いようです。
パントリーを考える際には、ご自身で「何をどのくらいしまうのか」「どのくらいの頻度で物を出し入れするのか」をイメージしてください。
どのような使い方をしたいのかを明確にすると、固定棚と可動棚のどちらがいいかなど、それに合う収納計画にできます。
パントリーを作る際は、プランニングの時点で作る目的を設定することが大切です。
「棚が深すぎて物を取りづらい・結局手前しか使わない」
壁付けの棚を設置する際には、棚の奥行きをじっくり検討してください。
収納量を増やそうと奥行きを広くし過ぎると、物が奥に押し込まれて、取り出しにくくなります。
また、取り出しやすさを気にして棚の手前半分しか使わなくなります。
奥行きの深い棚に2列で物を並べると、在庫管理がしづらく、パントリーのメリットを生かしきれません。
そのため、置きたいものにもよりますが、棚板の奥行きは30〜40cmくらいがおすすめです。
最下部にゴミ箱を置きたい場合は、収納スペース自体の奥行きは50〜60cmにして、上部の棚の奥行きをそれよりも浅くしてください。
「目隠しのために扉をつけたが、いちいち開け閉めが面倒」
パントリーの内部はごちゃごちゃになりがちですよね。
そのため、扉をつけたいという方も多いでしょう。
ところが、実際に扉付きのパントリーを作った方の感想を見てみると、「最初のうちは扉を常に閉めていたが、調理中の開け閉めが面倒で最近は開けたまま」という方もいます。
扉をつけるのに材料費と設置費用を合わせると数十万かかることもあるため、そのパントリーを使っている様子を想像して、本当に扉が必要かじっくり検討してください。
リビングなどからパントリーの内部を見えにくくする方法は、扉を付けるだけではありません。
下の図面のように、リビングやダイニングなどからパントリー内部まで視線が通らないようにすればいいのです。
死角となる場所に出入り口を設ければ、扉なしでも内部があまり見えません。
パントリーに扉をつける場合は、使い勝手も合わせて検討することが重要です。
「暗くて奥のものが見えづらい・照明を消し忘れがち」
パントリーを作る際、忘れがちなのが照明計画です。
窓のないパントリーの場合は、照明の明るさによって使い勝手が左右されてしまいます。
また、明るさが十分でも、照明器具の位置によっては、物を探す際にご自身の頭で手元が影になってしまうという感想も耳にします。
そのため、照明の数や位置を考える際は、広さだけではなく、棚の位置とバランスを見て決めましょう。
あと、人感センサー付きライトにしておけば、調理中に汚れた手でスイッチを触らなくていいですし、消し忘れもなくなります。
「空気がこもってしまう」
ブログなどを見ると、「パントリーの中がなんとなく臭う」という感想を持つ方を見かけます。
パントリーにゴミ箱もしまいたい方は、特に換気を意識してください。
キッチンの位置関係によっては、ゴミの臭いだけではなく、料理の匂いも流れ込みます。
そのため、自然給排気口ではなく、換気扇で強制的に空気を外に出すプランがおすすめです。
パントリーからサービスバルコニーや勝手口を通って外に出られるようにする間取りも人気です。
「コンセントが足りなかった」
パントリーを作る際には、コンセントを多めにすることをおすすめします。
生活感を消し去りたい方は、パントリーの中にどの家電製品をしまいたいのか事前に検討しておきましょう。
なぜなら、冷蔵庫に電子レンジやトースター、ブレンダー、ミキサー、コーヒーメーカーなど、置き場所を固定するキッチン家電は、意外に多いからです。
冷蔵庫や電子レンジは専用回路がいりますし、アース付きコンセントにしなくてはいけないキッチン家電もあるため、後付けするとコストがかかるので注意してください。
「そもそもパントリーはいらなかった」
「家事が楽な家」や「おしゃれなLDKの家」にしたい方の中には、パントリーは必須の空間と考えている方も多いでしょう。
確かに、片付けやすく生活感のない空間にするためには、使いやすいパントリーは欠かせません。
最近は建売住宅にも取り入れられるほど、一般的な空間になりつつあります。
そのため、“なんとなく”間取りに取り入れる方も多いのです。
しかし、パントリーを作れば、当然、その分他のスペースが狭くなりますよね。
そのため、パントリーを無理に作る必要は全くありません。
ミニマルな暮らしを心がけていて物が少ないご家庭や、こまめに買い物するご家庭は、パントリーが本当にいるのか慎重に検討しましょう。
「家事の負担を軽減したいが、デザインや予算を妥協したくない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
パントリーは、今やトレンドを超えて“定番”と言っても過言ではないスペースです。
しかし、設計士任せでご自宅の間取りに取り入れると、結果的に使いにくく無駄なスペースになりかねません。
ですから、パントリーのある家を検討する際は、「なぜ必要なのか」「どのように使いたいか」「何をしまいたいのか」などをプランニングの段階で具体的にイメージしましょう。
家事が楽になる家やおしゃれなLDKの家を建てたい方は、ぜひ私たちハピナイスへご相談ください。
以前の動画では、間取りを後悔しないためのポイントや、使いやすいキッチンアイデアについて詳しく紹介しています。
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