2022.03.27
【ウッドショック最新情報】建築価格はどこまで上がる?アイアン・オイルショックについても解説!
「建築コスト、300万円以上は上がってます。」
これからマイホームを検討している方にとって、今1番と言っても良いほど心配な事は、建築価格がどこまで上昇するのかだと思います。
去年の5月頃から本格的に始まったウッドショックも、今年に入ったら納まると言われつつあまり下がっていません。
逆にアイアンショックやオイルショックの影響で、建築資材のほとんどが20%前後上昇し、また4月や5月に値上げを発表している住宅設備のメーカーや、大手ハウスメーカーもたくさんあります。
そんな状況下でも、家づくりで予算オーバーになったり、希望時期に引っ越せないトラブルは絶対に避けたいですよね?
そこで今回は、これからマイホームを検討している人や不安に感じている人に向けて、「ウッドショックを含めた3つのショック、2022年最新情報」を詳しくお伝えしたいと思います。
大工時代を含めて15年以上、たくさんのお客様の家づくりに携わった経験を踏まえて、有益な情報をできるだけわかりやすくお伝えしますので、ぜひこのタイミングでYouTubeのチャンネル登録をしていただき、最後までご覧ください。
●ウッドショックについて5つのポイント
今回は、次のような流れで話を進めていきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
1.ウッドショックとは
2.木材価格の現状
3.2つのショック
4.お客様への影響
5.契約のタイミング
1.ウッドショックとは
まずそもそもウッドショックとは何かですが、簡単に言うと輸入木材の不足によって、建築コストが上がってしまったり、木材が確保できずに着工が遅れてしまう事を指しています。
まず前提として、日本の木造住宅で一般的に使われている柱の約6割、梁や桁など横架材の約9割が輸入に頼っており、去年の5月頃から本格的に輸入木材が不足し、それに比例して木材単価が大幅に上昇してしまいました。
ウッドショックの4つの原因
この輸入木材が不足している原因4つに関しても、簡単にお伝えします。
まず1つ目は、アメリカと中国に世界中の木材を買われてしまっている事です。
アメリカはコロナ後の不景気から回復しつつあり、さらにリモートワークの普及もあって、郊外に家を建てる建築ラッシュが起きています。また中国も同じく景気回復に比例して住宅需要が上昇し、2つの国に木材の多くが流れているイメージになります。
2つ目の原因は、日本への物流ルートが減ってしまっている事です。
今もあまり収まっていないのですが、コロナ感染を防ぐために各国でロックダウンが起きていて、世界を結ぶ物流が減っています。その中でも、数少ない日本への物流ルートもアメリカと中国が押さえてしまっているので、なおさら日本に木材が入りにくくなっています。
3つ目の原因は、日本向け木材の原産地カナダやアメリカで、豪雨による洪水や竜巻が頻繁に起きている事です。その影響で木の伐採が困難になっていたり、鉄道や道路が被害を受けて物流が滞るトラブルが発生していたりする事が挙げられます。
最後4つ目の原因は、最近何かと話題の多いロシアが、今年の1月から針葉樹の輸出を全面的に禁止した事です。ロシアの丸太を中国で加工して日本に輸出するというルートが無くなり、床材やいろいろな下地に使われる合板の価格が急上昇しています。
2.木材価格の現状
続いて木材価格ですが、前回のウッドショックのブログでは1.5倍ぐらい上昇してるとお伝えしました。
ところが現在は、去年の今頃と比べて2倍近くまで上昇していて、例えば家1軒で木材の価格が150万円だとすると、300万円ぐらいになっています。
今後の木材価格の先行きを見通す指針の1つ、シカゴマーカンタイル取引所の木材先物取引価格を見ると、去年の5月にピークになった後、一旦8月頃に下がりましたが、年末からまた上昇が始まっています。
後はアメリカ国内の住宅の着工件数も、去年の10月頃に一度落ち着きましたが、今はまた上昇していてピークに迫る勢いになっています。
こうしたアメリカの動きに対して、日本の木材の価格は数ヶ月遅れで影響を受けるので、今年の1月頃に国内の木材製品の価格は若干下がりましたが、このままアメリカの木材需要が高まれば、比例して日本の木材価格も上昇してしまいます。
3.2つのショック
さらに今は、建築コストが上昇する原因として、アイアンショックとオイルショックの2つも発生していて、住宅購入者と建築業者の双方をトリプルパンチで苦しめています。
アイアンショック
まずアイアンショックについては、名前の通り鉄を使う建材全般が値上がりしていて、去年から中国で鉄鉱石の需要が拡大し、高値で大量に買い取っている事が原因と言われています。
例えばキッチンや窓サッシ、エアコンなどの設備関係、屋根や外壁に使われるガルバリウム鋼板もそうですし、基礎補強で使う鉄筋、小さなモノでいうと釘や固定ボルトまで20%~30%値上がりしています。
ウッドショックと同様、すぐに中国の需要が減るとは考えにくいので、鉄の値段も高い状態が続くと言われています。
オイルショック
もう1つのオイルショックについては、コロナによる景気低迷が世界的に回復する中で、原油の需要が急激に高まったことが原因です。しかも産油国の生産が追いつかず原油価格が急上昇し、結果としていろいろな物を運搬する燃料費や、石油を使った樹脂製品全般が値上がりしています。
車に乗る人はガソリン単価が上がっているのでおわかりだと思いますが、あらゆる物を運ぶ物流コストが上がっています。
他にも石油を使って作られる水道配管やお風呂の浴槽、雨樋や樹脂系の断熱材、石膏ボードやビニールクロスなど、いろいろな建材の値段が比例して上昇し住宅価格を押し上げています。
4.お客様への影響
次にお客様への影響について、値上げと工事の遅れの2つについてお伝えします。
値上げについて
まず値上げについてですが、現在でも去年に比べ坪3万円~5万円ぐらいの価格改定をして、30坪の家であれば90万円~150万円ぐらいアップしている会社がほとんどです。
仮に価格アップをしていない会社があるとすると、何か仕様を落として調整しているか、会社の利益を削っているかなので、どちらにしても長い目で見て、お客様にとってあまり良い結果にならないと思います。
住宅価格については正直、木材や鉄、運搬費や石油製品などの価格がどんどん上昇していて、今の所は下がる兆しが見えません。さらに4月以降から順次、住宅設備メーカーが10%~40%の値上げを発表しています。
このため大手ハウスメーカーを含め、まわりの工務店も坪5万円前後の価格改定をする話も聞いているので、当面は価格が上昇傾向にあると考えています。
あとは建物本体以外にも、カーポートや物置のような外構エクステリア商品や、家具、家電などマイホーム新築にあたって必要になる物の値段も上がりしています。なので家全体の暮らしに関わる部分まで含めて、トータルで資金計画をしっかり立てておく事が大切になります。
工事の遅れについて
もう一つの心配事としては工事の遅れもありますが、木材の単価は上昇したままでも、供給自体は比較的安定してきています。
ただ今は設備関係などの供給不足も深刻化していて、特に給湯器やトイレの便器などは数カ月待ちという物もあります。そのため実際に完成が遅れてしまったり、入居できても一部の設備は後から設置という事が起きています。
なので希望の入居時期がある場合には、万が一材料などの遅れがあっても対応できるようにゆとりを持って逆算して最低でも1年以上や、できれば希望時期の2年前などなるべく早めに住宅の検討を始めるようにしましょう。
5.契約のタイミング
では最後にいつ契約すればいいのか、いつ家を建てれば良いのかについてです。
これは本当に迷ってしまうと思いますが、個人的には前回のブログの結論と同じで、無理に早めたり、様子をうかがって変に待ったりする必要は無いと感じています。あくまでお客様が家を建てる必要がある時に合わせて、契約したり建築するのが1番だと思います。
仮に値段が下がるのを待つとしても、未来の事は誰にもわからないですし、もしアパートに住んでいれば、その間も家賃はかかり続けてしまいます。
あとは長期金利が上がり気味なので、今後住宅ローンの金利も比例して上がる可能性があって、長い目でみると支払い総額が増えてしまうため、その辺りも踏まえて考えるのがベストだと思います。
ただ逆にこの値上がりに便乗して「今月中に契約してもらえれば、値段が上がる前に材料を押さえられる」みたいに煽られて、十分に検討しないまま住宅会社を決めてしまうと、一生の家づくりで後悔してしまう可能性も出てきます。
なので、お子さんの小学校入学や仕事の都合とか、新しい家に住みたい理由や事情があるなら、それに向かって早めに準備をして、しっかり家や住宅会社を比較したうえで、信頼できそうな会社や担当者、良い土地に巡り会えたタイミングで、家づくりを進めていただければ幸いです。
ちなみに、信頼できる住宅会社や危ない住宅会社を見分けるポイントについては、別の動画で詳しく解説していますので、興味のある方は下のリンクからぜひご覧ください。
●まとめ
それぞれの概要はここまでお話した通りで、ウッドショックへの対応は明確にどうするのが正解という事はないですし、人それぞれの価値観による所も大きいです。
なのであまり悩み過ぎても起きている事実は変わらないので、家を建てたいと思えたタイミングで前向きに、できる事から進めてほしいと思います。
今回のブログ内容が全てではないですが、これからマイホームを考える人にとって、少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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