2020.09.01
【元大工が明かす!】ローコスト住宅がローコストではない理由を徹底解説!
私は約10年間大工をしていたのですが、その時に仲間に頼まれてローコストの住宅会社さんの、家を作る手伝いをしたことがあります。
今回はそのときに気づいた「ローコスト住宅は必ずしも安いとは限らない」という実情を、みなさんにお伝えしたいと思います。
ローコスト住宅とは?
ローコスト住宅とは1軒で900万円や1,000万円といった、格安で建てられる家のことを指します。
もちろん金額はとても大切なことなので、それを重視して家造りをしても、まったく構わないと思います。
ただし、安いけど実際の造りや仕様はどうなのかを、あらかじめ知ってもらい、住んでから「こんなはずじゃなかった」と、後悔しないようにしてほしいと思います。
念のためお断りしておきますが、手頃な金額で家が作れることを、否定するつもりはまったくありません。
ただ、ローコスト住宅はその値段ゆえに、注意しなければいけないことがあり、値段だけで判断するのはあまり得策ではないのです。
ローコスト住宅がローコストではない理由
結論から言うとローコスト住宅は、必ずローコストになる訳ではありません。
その理由は下の3つがあります。
①丁寧に作ることができず、欠陥住宅になりかねない
②希望を入れていくと割高になってしまう
③高額な諸経費追加で高くなってしまう
これを順に解説していきます。
理由①「丁寧に作ることができず、欠陥住宅になりかねない」
まず1つ目の「丁寧に作ることができず、欠陥住宅になりかねない」について解説します。
ローコストの会社は家のコストを抑えるために、大工さんや職人さんへの報酬を少なめにしているところがあります。
しかし、それでは大工さん達は生活が、苦しくなってしまいます。
そこで、ローコストの会社は「通常60日で家を作るところを40日で作ってほしい、その代わり年間で3軒だった依頼を5軒に増やす」というような交換条件を出します。
厳しい景気で豊富に仕事がある大工さんばかりではないため、1軒当たりの報酬は減っても年間の金額が変わらなければ良いだろうと、その条件を引き受ける大工さんもいます。
短期工事が大きな問題
ただ、通常より工期が短い「短期工事」には大きな問題があり、いつもより早く作ることになるため、どうしても丁寧にできない部分が出てきてしまいます。
たとえば、いつもは30分かけている料理を20分で作るとしたら、丁寧に作ることができず味は少し落ちてしまいますよね?
それと同じでいくら優れた腕を持った大工さんでも、十分な時間がなければ良い仕事ができないのです。
現場管理も早さ重視になる
そしてこの短期工事にはもう一つの弊害があり、現場管理も早さ重視になってしまうのです。
大工さんや職人さんの仕事にミスがないか、しっかり目を光らせるのが現場監督の大切な仕事です。
しかし、限られた時間では細かなところまでチェックするのが難しく、不具合を見落としてしまう可能性が出てきます。
しかも、ローコストの会社の中には人件費を抑えるため、一人の監督さんが20件、30件と、たくさんの工事中の家を見ているところもあります。
その上で、次々に工事を進めなければいけないとなると、目が行き届かなくなるのは当然ですよね。
工期に急かされ現場が管理されていない
以前のブログでもお話ししましたが、私が大工時代に仲間の手伝いに行ったローコスト住宅の現場では、ルールと違う工事をしていたことがありました。
それを指摘すると「いいからそのままやってくれればいいよ」と言われ、工期に急かされているからか、まったく適切な管理がされていませんでした。
短時間で作るため大工さんたちは丁寧な仕事をできない、そして監督も工期優先のためしっかりチェックをしたり、出来が悪いところを直させたりできない。
こういったことが、ローコスト住宅では起きかねないのです。
ローコスト住宅ではなく欠陥住宅
丁寧な仕事と管理が行われないと、家が出来てすぐには分かりませんが、時間がたつと壁や床が波打ってくるかもしれません。
あるいは、排水管がきちんとつながっていなくて、床下が水びたしになってしまうような、トラブルだらけの家になる可能性が高くなります。
全てのローコスト住宅が、必ずそうなるという訳ではありませんが、特に工期が短いローコスト住宅では、現実に起こりかねないのです。これはローコスト住宅ではなくて、はっきり言って欠陥住宅ですよね。
これがローコスト住宅がローコストではない1つ目の理由です。
この欠陥住宅の話に関しては、以前のブログで2回に分けて詳しくお伝えしていますので、心配な方はぜひチェックしてみてください。
理由②「希望を入れていくと割高になってしまう」
次に「希望を入れていくと割高になってしまう」という理由についてお話しします。
ローコスト住宅は市場にたくさん流通している一般的な材料を、一度に大量仕入れをすることで、メーカーと交渉してコストダウンをしています。
これは決して悪いことではなく、なるべく品質を維持して安くするための、企業努力と言えます。
ただ、一般的な材料というのは万人受けする、ちょっと悪い言い方をすれば特徴のない、平凡な製品になりがちです。
標準から変えると追加費用がかかる
特に強いこだわりがなければ、平凡な製品でも安くなることはメリットですが、もう少し良いものに変えたいとか、自分好みのものに変更したいとかになると話は別です。
たとえば、食洗機が標準で付いていないから追加したり、床を無垢の本物の木にしたりなど変更を頼むと、かなりの追加金額が出てしまう可能性があります。
一生住む家なので自分の使いやすいように、あるいは好みに合わせて変えたいと考える人にとって、追加費用が積み重なりお得にならないこともあるのです。
間取りの変更も金額が追加になる
またローコスト住宅は、間取りもある程度決まった中から選ぶ、という会社が多くなっています。
たとえば、家事コーナーを作りたいとか、吹き抜けを作りたいとか、和室を広くしたいといったような、少しでも間取りを変えると大きな金額が、追加になることがあります。
理由は普段使わない高い材料を使うことになり、しかも設計士や現場監督と改めて打ち合わせをして、整合性チェックや納まりを考えるため、余分な人件費もかかるからです。
インテリアコーディネートも変えると金額アップ
同じくインテリアコーディネートも、いくつかのパターンから選ぶと言う会社がほとんどです。
これも同じような壁紙を安く大量に仕入れ、さらにインテリアコーディネーターの人件費も節約して、コストを下げるためです。
そのため用意された仕様や進め方から外れたことをしようとすると、一気に材料費や人件費がかかってしまいます。
当然これらの追加費用はお客さんに請求するため、わずかな変更でも大きく金額がアップすることになるのです。
自分好みにするとローコストにはならない
つまり、せっかく作るなら自分好みの家にしたいという方にとって、ローコスト住宅は高い追加費用が発生し、安い金額にはならない可能性があるのです。
これがローコスト住宅が、ローコストにならない2つ目の理由です。
理由③「高額な諸経費追加で高くなってしまう」
そして最後の3つ目「高額な諸経費追加で高くなってしまう」という点についてお話しします。
諸経費とは家の本体金額とは別にかかる、申請費用や手数料などのことです。
たとえば、役所に家を建てる申請を出す建築確認申請費や、銀行ローンを申し込む事務手数料など、お客様があまり聞かないような費用がいくつもあります。
そして少し怖い話ですが、お客様があまりよく知らないことにつけ込み、こうした諸経費にもうけを上乗せする住宅会社もあります。
さらに、管理諸経費や運搬費、保守点検委託料など、よく分からない名目で諸経費を作り出し、請求してくるローコスト会社も存在します。
割高な付帯工事を追加請求
また付帯工事と呼ばれる水道を引く工事や、柔らかい地面で家が傾かないようにする、地盤補強工事などがありますが、これも他社に比べかなり高いケースを見たことがあります。
しかし、一般の方はその相場を知らないため、これには300万円かかりますと言われたらそうなのかなと、受け入れてしまうお客様もいます。
しかも、中には契約してから「実はこの費用がかかります、あれもかかるかもしれません」と追加をして、どんどん金額を増やすタチの悪い会社もあります。
広告で「1000万円で家が建ちます!」となっていても、それとは別に諸経費が積もり積もって800万円や、ひどいところは1000万円以上請求してくる会社も存在します。
全てを合計すると結局は普通の金額で、これでは全然ローコスト住宅ではないですよね?
契約を急かしてきたら要注意
こうしたことを防ぐには、とにかく契約する前に複数の会社の見積もりを取り、他の会社は諸経費がどれくらいなのか、知っておくことが重要です。
ただし、諸経費を余分に上乗せするローコストの住宅会社は、他と比べられるとそのトリックがばれてしまうため、とにかく契約を急がせる傾向があります。
見積もりから1週間以内に返事がほしいとか、今月中に決めてくれたらエアコンをサービスするとか、比較する時間を与えないようにして、契約を迫るので要注意です。
この、高額な諸経費などを追加して金額が増えてしまうことが、ローコスト住宅がローコストではない3つ目の理由です。
まとめ
ローコスト住宅は工期短縮でコストをカットしていますが、それが現場の雑な仕上がりにつながり、ローコスト住宅どころか欠陥住宅になってしまうリスクを生んでいます。
また、ローコスト住宅は大量仕入れや、人件費カットの仕組みでも金額を抑えています。
そのため「せっかくのマイホームだからこだわりたい」「希望をたくさん入れたい」という価値観の人にとって、変更による割高な追加金額が発生し、ローコストになりません。
そして、お客様の知識不足につけ込んで高額な諸経費を請求し、結局は普通の金額になってしまうローコスト会社もあるため、本当に注意が必要です。
もちろん、お金はとても大切なものなので、金額を重視して家を選ぶことは、決していけないことではありません。
しかし、最終的に安くはならないローコスト住宅もあることを、頭の片隅に入れて十分に注意しながら、比較検討してほしいと思います。
今回のブログが「絶対に失敗しない、家族が笑顔になる家造り」に、少しでも役立てば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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