2024.12.09
「太陽光発電はガス併用とオール電化どちらか」新築住宅の省エネポイント
これからマイホームを建てる方の中には、太陽光発電システムの導入を検討している方も多いはずです。
気になるのが「太陽光発電はオール電化・ガス併用どちらと組み合わせればいいのか」という点ですよね。
家庭用蓄電池が必要かどうかのご相談も多く寄せられます。
そこで今回は、多くのご家族の家づくりをサポートしてきた愛知県の工務店『ハピナイス』が、以下の項目をわかりやすく解説します。
コラムのポイント
■ 戸建住宅に太陽光発電を導入するメリットや普及率を紹介します。
■ 太陽光発電とオール電化・ガス併用それぞれを組み合わせた場合のメリットとデメリットを紹介します。
■ 太陽光発電導入とあわせて家庭用蓄電池を設置するメリットとデメリットを紹介します。
■ これから戸建住宅を新築する際に重要となる省エネプランの考え方やチェックポイントを紹介します。
太陽光発電は義務化されない地域でもおすすめ|戸建住宅への普及率
2025年4月以降に新築される延床面積2,000㎡未満の住宅を対象に、東京都・神奈川県川崎市・京都府で太陽光発電パネルの設置が義務化されます。
年間供給延床面積が合計200,000㎡以上の事業者に対して、住宅など延床面積2,000㎡未満の中小規模新築建物における「断熱・省エネ性能の確保・再エネ設備(太陽光発電設備など)の導入」が義務化されるのです。
「義務化されていない地域では太陽光発電は必要ない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、近年は義務化の対象外地域でも戸建住宅へ太陽光発電の普及率が高まっています。
戸建住宅の建築時期別太陽光発電システム使用率を見ると、2001〜2005年の12.7%に対して2016〜2018年は22.7%にまで上昇しました。(参考:環境省|家庭部門のCO2排出実態統計調査|太陽光発電システムについて)
太陽光普及率には地域差があり、ハピナイスのある東海地方は特に普及率が高く、全国平均が6.3%なのに対して「全住宅の11.2%」に太陽光パネルが設置されています。
このように戸建住宅への再エネ設置義務化が決定していない地域でも太陽光発電を導入する住宅が増えている背景には、以下のメリットがあります。
- 発電時に大気汚染物質が発生しない
- 自家消費で電気代を削減できる
- 電気代高騰に影響されない
- 売電収入によって初期費用を償却できる
- 停電時の非常用電源になる
- 国や市町村の補助金を活用して設置できる
※太陽光発電導入の最新メリットと後悔しないために知っておきていただきたいデメリットとその対策については「太陽光発電は時代遅れなのか|やらなきゃよかったと後悔しないために最新のメリット・デメリットを解説」で詳しく解説しています。
ポイント
新築戸建住宅に太陽光発電を導入する場合、「オール電化」「ガス併用」2つの方法があります。
それぞれのメリットとデメリットを理解し、ご自身のライフスタイルやご家族構成に合うプランを選びましょう。
愛知県で家づくりを検討中の方は、土地探しや資金計画の段階からご家族をサポートしているハピナイスにお問い合わせください。
「太陽光発電×オール電化」のメリット・デメリット
太陽光発電とオール電化を組み合わせるメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
災害時でも日常生活を継続できる
太陽光発電とオール電化を組み合わせると、災害に伴って停電しても給湯や調理など最低限の日常生活を継続できます。
また、災害発生後に電気はガスや上下水道より復旧が早い点もポイントです。(参考:内閣府|被害に関するデータ等)
家計管理をしやすい
オール電化にすると光熱費が電気代と水道代のみになるため、家計の管理がシンプルになります。
最近は電気自動車やV2H(※)も導入し、月々の光熱費をより効率化・スリム化する方も増えています。
※V2H:Vehicle to Home(車から家へ)の略称で、電気自動車(EV)から電力を家に戻すための変換システム
ヒートポンプ式給湯器を使える
エコキュートなどのヒートポンプ式給湯器は、空気の圧縮と膨張の繰り返しで生み出される温度変化を利用して給湯する仕組みで、エネルギーによって熱を作る従来の給湯器と比べて省エネ性が高い点がメリットです。
ヒートポンプ式給湯器は貯湯タンクの水を、日中に太陽光発電による電力を使いお湯に変えて、それを夜間にお風呂などで使えます。
電気代を削減できる可能性がある
電力会社によっては料金プランの中に再エネプランやオール電化プラン、深夜電力が安くなるプランがあり、それらと組み合わせると月々の電気代を削減できる可能性があります。
特に家庭で消費されるエネルギーの30%程度は給湯によるため、悪天候で太陽光発電量が少ない日でも深夜電力を使い電気代を抑えながら給湯できます。
消費エネルギーを“実質ゼロ”にできる
最近増えているのがZEH(ゼッチ)で、ゼロエネルギー住宅とも呼ばれています。
ZEHとはネットエネルギー・ゼロ・ハウスの略称で、高断熱+高性能設備+創エネルギー設備(太陽光発電など)を組み合わせて、その家の消費エネルギーを“実質ゼロ”に近づけることを目指す住宅様式です。
ZEHは通常の住宅よりも新築コストがかかりますが、電力会社から購入するエネルギー量を最小限に抑えられて補助金や減税制度の対象となることから、長期的に見るとお得とされています。
IHクッキングヒーターで掃除の手間が減る
オール電化住宅では調理機器としてIHクッキングヒーターが導入されます。
IHクッキングヒーターは五徳(ごとく)などの部品がなくカウンタートップがフラットなため、キッチンの掃除が楽な点が魅力です。
また、火が出ないため洋服などへの引火事故や不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクを軽減できるため、ガス併用住宅でも小さいお子様やご高齢の方、ペットを飼っている方が採用する事例も珍しくありません。
デメリット
初期費用が高い
オール電化住宅にする場合、設備機器にかかる費用がガス併用よりも高くなる可能性があります。
そのため、家のプランを検討する際はコストパフォーマンスを確認しましょう。
これまで月々どのくらいの電気・ガス使用量で、それが太陽光発電・オール電化によってどのくらい削減できるかがポイントです。
在宅時間が短い方やご家族が少ない世帯は、高い初期費用を払って太陽光発電やオール電化にしても、初期費用を回収するまでに期間がかかる可能性があるので注意しましょう。
季節によって電気代が高くなる可能性がある
晴天率の高い季節には太陽光発電によって光熱費を削減できますが、梅雨や雪が多く降る季節には想定ほどの太陽光発電量を得られず、電力会社から電気を購入しなくてはいけません。
深夜電力が安くても日中の電気料金が高いプランもあるため、電力を多く使うオール電化住宅では光熱費が高くなる可能性があります。
ヒートポンプ式給湯器で不便さを感じる可能性がある
ヒートポンプ式給湯器は、貯湯タンクの水を温める仕組みです。
そのため、一気に多量のお湯を使うとタンクが空になり、再びお湯が出るまで時間がかかります。
多くのメーカーではタンクの大きさが「370ℓ・460ℓ・560ℓ」などいくつかの種類から選択できるため、家族の人数に応じて適切なタイプを選びましょう。
また、ヒートポンプは空気中の温度差を利用してエネルギーを作るため、寒冷地では冬になると通常時の70%程度まで効率が落ちる可能性もあります。
停電と悪天候が重なると生活が不便
太陽光発電とオール電化の組み合わせで蓄電池がない環境では、停電と悪天候が重なると全ての設備機器を使えなくなります。
そのため、給湯や調理もできなくなるため注意しましょう。
愛知県で家づくりを検討中の方は、地域密着で施工事例が豊富なハピナイスにお問い合わせください。
「太陽光発電×ガス併用」のメリット・デメリット
これまで太陽光発電+オール電化が主流でしたが、近年は電力とガスを併用する住宅も増えています。
メリット
停電と悪天候が重なっても不便が少ない
太陽光発電システムがあれば停電でも設備機器を使えますが、曇天や雨天などの悪天候が続くと生活に必要な電力をまかなえません。
しかし、ガス併用であれば電力がなくても給湯や調理はできます。
家庭用燃料電池を導入できる
エネファームなどの家庭用燃料電池は、都市ガスやLPガスから水素を作ってそれを酸素と化学反応させて発電できる給湯設備です。
発電時の排熱を利用してお湯を沸かすため、高い省エネ効果をもたらします。
こちらはガスが必要なので、オール電化では利用できません。
寒冷地でも給湯・暖房効率が下がらない
オール電化住宅の高性能給湯設備であるヒートポンプ式給湯器は、気温が寒くなると効率が下がる点がデメリットです。
対してガスを利用する給湯設備や付随する床暖房は、冬でも効率が変わりません。
そのため、寒冷地で冬に長時間暖房を使う場合はガス併用がおすすめです。
設備機器の選択肢が豊富
ガス併用を選ぶと給湯器や調理機器、暖房設備の選択肢が豊富な点もメリットです。
オール電化製品はメーカーや機種が限定されますが、ガス併用でしたら予算や求める性能に合わせてたくさんの中から設備機器を選ぶことができます。
季節によっては光熱費を削減できる
近年電気料金もガス料金も値上がりしていますが、ガス料金の方がどの会社も値上がり幅が小さいため、ガス併用によって家計への負担を軽減できる可能性があります。
特に太陽光発電量の落ちる季節にはガス併用による光熱費削減効果が高くなるため、曇天・雨天率の高い地域にお住まいで冷暖房を長時間使う方はガス併用がおすすめです。
デメリット
家計管理が複雑になる
ガスと電気の両方を使うと、それぞれの基本料金と使用料金を管理する必要があります。
太陽光発電を導入すると室内に設置するモニターで発電量だと電力使用量をオンタイムで確認できますが、ガスも併用すると使用量削減への対策を一本化できません。
火災や事故への配慮が必要
現在販売されているガスコンロには原則として消し忘れセンサーなどの安全装置を搭載しています、火が出るため引火や一酸化炭素中毒の事故は防げません。
IHクッキングヒーターでも火災は発生しますが、ガスコンロの方がリスクは高めです。
消防庁の調べによると、火災原因はタバコ・焚き火に続きコンロが多いというデータもあります。(参考:総務省消防庁|令和5年(1~12月)における火災の状況(確定値))
ガスの配管工事が必要
ガス併用にする場合は道路から敷地へのガス管引き込みと住宅内逃す配管工事が必要です。
費用はトータルで30〜40万円程度かかります。
ただし、オール電化の場合よりも設備機器は比較的リーズナブルなので、トータルコストはオール電化よりも安くおさまる事例が通常です。
太陽光発電のメリット効果が少なくなる
太陽光発電は家庭内の消費エネルギーを自給自足することによる光熱費やCO2排出量を削減できる点がメリットです。
しかし、家庭エネルギーの一部をガスに頼ると省エネ効果は少なくなります。
そのため、太陽光発電設備の導入にかかった初期費用の回収期間が長引く可能性は否めません。
愛知県で「高性能な住宅をリーズナブルな価格で建てたい」方は、高い断熱性・気密性・耐震性が標準仕様のハピナイスにお問い合わせください。
太陽光発電に蓄電池は「やめたほうがいい」のか|導入のメリット・デメリット
太陽光発電を導入する際に気になるのが、家庭用蓄電池の必要性ですよね。
インターネットなどで調べると「やめたほうがいい」「いらない」という意見も見かけます。
太陽光発電と家庭用蓄電池をあわせて導入するメリットとデメリットを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
メリット
光熱費削減効果を高められる
蓄電池の魅力は、日中に太陽光発電して使いきれなかった電力を夜間に使用できたり、安い深夜電力を日中に使ったりできる点です。
また、近年は電力会社による余剰電力の買取価格が低下しているため、余った電力を売るよりも使いきった方がよりお得とされています。
そのため、蓄電池を導入するとより光熱費を削減できる可能性が高まります。
災害時でもさらに安心
太陽光発電設備は太陽の照っている時間のみ電力をつくります。
つまり、停電している間に天候が悪いと発電力は少なくなりますし、夜間は発電しません。
そのため、防災設備として蓄電池を導入する方が増えています。
デメリット
初期費用がかかる
家庭用蓄電池の導入コストは蓄電容量によって異なりますが、100〜200万円程度が相場とされています。
経済産業省の調査によると、機器の費用は「11.7万円/kWh」、工事費は「2.2万円/kWh」が目安です。(参考:資源エネルギー庁|定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査)
年々電気自動車の普及に伴いリチウムバッテリーが値上がりしているため、今後はより一層家庭用蓄電池の導入コストが高くなるかもしれません。
メンテナンス費用がかかる
家庭用蓄電池に保守点検は義務付けられていませんが、定期的な機器交換をする必要があります。
設備機器 | 交換周期 費用目安 |
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家庭用蓄電池本体 | 15〜20年ごと 80〜180万円 |
パワーコンディショナー(※) | 10〜15年ごと 30〜40年 |
※パワーコンディショナー:蓄電池から家庭内に電力を送り込む際に、直流電力を交流電力に変換するための機器
一般的に家庭用蓄電池は10〜15年で元が取れるとされていますが、本体やパワーコンディショナーの交換費用を踏まえると、日頃の電気使用量によってはコスト回収が難しい可能性もあります。
蓄電量は段々と減る
家庭用蓄電池は年数が経つとともに蓄電量が減っていきます。
蓄電量を評価する目安が、サイクルの回数です。
バッテリーにおけるサイクルとは空の状態からフル充電してさらにその電力を使い切るまでの時間を指し、家庭用蓄電池に搭載されるリチウムイオンバッテリーは6,000〜12,000サイクル程度が寿命とされています。
蓄電池の寿命が近づくと新品の状態と比べて20〜30%ほど蓄電量が減るため注意しましょう。
蓄電池の設置場所が必要
家庭用蓄電池は室内・屋外どちらに設置するタイプもエアコンの室外機程度です。
蓄電量が大きい機種は、さらに本体サイズも大きくなります。
そのため、狭小地では蓄電池の設置場所に困る可能性があるので注意しましょう。
家族構成やライフスタイルによってはメリットが少ない
太陽光発電と蓄電池を導入すると、余剰電力や深夜電力を優先的に使えるため光熱費削減につながります。
ただしこれは全てのご家庭に当てはまるとは限りません。
電力会社によっては深夜電力が安くなるプランがなく、そもそも単身世帯や在宅時間の少ない世帯、あまり電力を使わない世帯では、思うほど光熱費を削減できない可能性があります。
そのため、家庭用蓄電池の導入を検討する前に、まずは1年間の電気使用量や電力会社のプラン内容を確認しましょう。
愛知県で家づくりを検討中の方は、資金計画の段階からご家族をサポートしているハピナイスにお問い合わせください。
新築住宅の省エネプラン|考え方とチェックポイント
新築住宅で太陽光発電とオール電化・ガス併用どちらを組み合わせるかや蓄電池の導入に迷っている方は、以下の点に着目して省エネプランを検討しましょう。
□ 家を建てる敷地は日当たりが良いか・曇天率や雨天率は高くないか=そもそも太陽光発電に適した敷地か確認する
□ 家を建てる敷地が寒冷地かそれ以外か=寒冷地は暖房・給湯効率の良いガス併用がおすすめ
□ 日常的に多くのエネルギーを使っているか=太陽光発電はエネルギー消費量が多い家におすすめ
□ 主な在宅時間は日中か夜間か=日中不在の家には蓄電池がおすすめ
□ 初期費用の軽減と防犯性アップのどちらを優先するか=防犯性に特化するならガス併用+蓄電池がおすすめ
□ 導入したい設備機器はあるか=設備機器によってオール電化とガス併用が限定される
□ 電気自動車に買い換える可能性はあるか=電気自動車を導入する場合は太陽光発電+蓄電池でさらに電気代削減効果が高まる
□ 住宅のプランは高気密・高断熱仕様か=気密性・断熱性が低いと空調に多量のエネルギーを消費してしまう
ポイント
太陽光発電のメリットを最大限に活かすためには、家の高い気密性・断熱性が欠かせません。
ハピナイスでは高い気密性・断熱性に加えて、国の最高ランクである「耐震等級3」も標準仕様とし、施工エリアを限定することでおしゃれで高品質な住宅をリーズナブルな価格で提供しています。
まとめ
太陽光発電にオール電化とガス併用どちらを組み合わせるかは、住まいについてどのような点を重視するのかによって異なります。
また、家庭用蓄電池の有無も電気使用量やライフスタイルによって正解は変わるため、建築会社とシミュレーションを重ねましょう。
今回紹介した情報を参考に、ご家族の快適性・安全性・楽しい暮らしを軸にして、理想の家を完成させていただけると幸いです。
ハピナイスは、省エネ住宅についてご相談いただける工務店です。
愛知でマイホームを検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
林 拓未
HAPINICE 代表取締役
ものごころ付いた時から、わたしの周りには大工道具と木がありました。
祖父の宮大工としての技術を受け継ぎ、父が築いた住宅づくりの伝統を、わたしも3代目として守り続けています。
家づくりは多くの方にとって人生の一大イベントであり、安心して暮らせる「家」という土台を共に築くことが、家族の幸せと豊かさにつながると信じています。
【スタジオ】
御用のある方はスタジオへお越しください。
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【木材加工場】
〒441-1343
愛知県新城市野田字西浄悦68番地
登録資格
- 建設業許可番号:愛知県知事許可 (般-2) 第59940号
- 一級建築士事務所番号:知事登録 (い-5)第14234号
- 宅地建物取引業者番号:愛知県知事(2)第23925号
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