2022.04.21
【ここに注意!!】軒の深い家のメリット・デメリット!建てる前に知って失敗回避!!
最近は軒の出が少ない家とか、軒が全く無い軒ゼロの家も増えていますが、一方で積水ハウスとか住友林業とか、高級路線のハウスメーカーを中心に、邸宅のイメージで軒の深い家も人気があります。
ただ実際には、軒を深くする事でメリットがある反面、条件や環境、設計力によっては当然デメリットもあるので、見た目だけの判断とか、提案されるがまま、言われるがままというより、軒の意味をしっかり理解した上で軒の出を選択する必要があります。
そこで今回は、軒を深くするメリット・デメリットを詳しくお伝えして、自分達のマイホームではどうするのか、客観的に判断できるようになってもらいたいと思います。
大工時代を含めて15年以上、たくさんのお客様の家づくりに携わった経験を踏まえて、これから家を建てる人が失敗しないための情報をできるだけわかりやすくお伝えしますので、ぜひこのタイミングでYouTubeのチャンネル登録をしていただき、最後までご覧ください。
●軒とは
まず軒の役割をかんたんに説明すると、外壁面より屋根を外側に出す事で、例えば屋根の上を流れてきた雨水が、外壁にかかって汚れたり劣化したりするのを防いだり、屋根のすぐ下にある窓の日除けをしてくれるモノになります。
ただ最近は外壁も進化していて、撥水性能を持った塗料や光触媒の効果で、日光と雨が当たる事で汚れを洗い流してくれたり、汚れ自体が付きにくいガルバリウム鋼板などの外壁材も普及しています。
なので屋根からの雨だれを気にしない、むしろ雨に当てたほうが良いとまで言われている外壁材も、あったりします。
そんな状況下でも、軒の深い家が人気な理由があるので、まずはメリットを3つご紹介します。
1.重厚感
2.雨と日光
3.雨漏り
逆に、予め知っておいていただきたいデメリットは4つあります。
1.暗くて寒い
2.コスト
3.土地
4.煽りと垂れ
それでは1つずつ解説したいと思います。
1.重厚感
深い軒のメリット1つ目は、重厚感です。
これはシュッとしたイメージの軒が浅い家に比べて、屋根をしっかり強調するように軒を深くした家の方が重厚感を感じやすいという意味になります。
正直、お客様の価値観によって感じ方は変わりますし、屋根の厚みや種類にもよりますが、家というより邸宅のような、少し大きめの家に見せたい、迫力を出したい場合には、非常に有効な手段の1つになります。
これは実際に軒の深い家の方が、屋根面積が物理的に広くなりますし、寄棟や片流れなど屋根の形が同じで、屋根の勾配も同じだとすると、軒の深い家の方が屋根の頂点が高い位置になるので、見た目のボリュームも比例してアップします。
あとは和モダンのデザインが好きという場合にも、深い軒にする事で重厚感と和の雰囲気がちょうどマッチして、やり過ぎないスタイリッシュなイメージに仕上げてくれるのでお薦めです。
ちなみに、使う素材や形によって変わる屋根の注意点については、別の動画で詳しく解説しているので、興味のある方は下のリンクからぜひご覧ください。
2.雨と日光
深い軒のメリット2つ目は、雨避けと日除け対策です。
これは例えば、軒を出して屋根のあるインナーバルコニーにする事で、天気に左右されずに洗濯物を干すことができたり、玄関部分の軒を深くすれば、ちょっとした自転車置き場や傘置き場とか、工夫次第で雨をしのげる貴重な空間を作れます。
あと日除けのメリットに関しては、自然環境を活かして省エネな家を作るパッシブデザインの考え方の一部で、軒が深いと夏の暑い日差しが窓から入りにくくなるので、室内の温度上昇が防げて、冷房費の電気代を抑えられる効果があります。
以前の動画で、汚れにくい外壁の種類や使いやすい玄関周りの工夫、今注目されているパッシブデザインの注意点について詳しく解説しているので、興味のある方は下のリンクからぜひご覧ください。
3.雨漏り
深い軒のメリット3つ目は雨漏りの低減で、軒の出が浅かったり、今流行りの軒が無い軒ゼロという箱型デザインの家と比べて、軒の深い家の方が、雨漏りのリスクが少ないという意味になります。
これは工法よって多少考え方は違いますが、基本的にどの住宅会社でも、軒と外壁が干渉する取り合い部分には、雨が入らないように防水処理がしてあったり、万が一雨が侵入しても下に抜けるように施工するのが一般的です。
ただその防水処理が経年劣化で機能していなかったり、適切な防水施工がされていなかったりすると、普通の雨なら大丈夫だと思いますが、台風や暴風雨だと雨が吹き上がるので、軒が浅いと余計に雨水が侵入しやすくなり、雨漏りの原因になったり家の耐久性低下に直結してしまいます。
実際、軒が深ければ絶対に大丈夫という意味では無いですが、物理的に屋根が守ってくれるので侵入しにくいですし、ちゃんと防水処理や通気層の確保ができていない、施工不良の軒ゼロの家もたまに見かけるので、その辺りはしっかり確認するようにしましょう。
1.暗くて寒い
ここからは反対に、デメリットを4つご紹介します。
深い軒のデメリット1つ目は、暗くて寒いです。
これは当たり前の事ですが、軒を深くすればする程、その分雨も掛からなくなって夏の日差しも避けられる反面、日の光が届かなくなるので室内は暗くなるし、冬も寒くなってしまう可能性があります。
極端な例かもしれませんが、見た目の重厚感や雰囲気だけを優先して軒を深くしすぎてしまって、暮らし始めてから、寒いとか暗いとなって後悔するパターンも、少なからずあるようです。
もちろん、理解した上で選択しているなら何の問題も無いと思いますが、基本的に雨除けも日除けもちょうど良くが1番で、家を建てる地域によって日の角度や日照時間は変わるので、軒を出す事でのメリット・デメリットをしっかり比較した上で、適切なサイズを選ぶようにしましょう。
2.コスト
深い軒のデメリット2つ目は、コストがかかる事です。
これも当たり前の事ですが、軒を出す分だけ屋根本体の面積が大きくなります。屋根材はもちろん、下地に使われる合板の枚数増加、垂木の長さやサイズも大きくなり、防水や雨樋とかいろいろな材料が増えてしまうので、比例して建築コストが高くなります。
実際の増加金額に関しては、各会社の標準としている軒の出寸法や、屋根材の種類などにもよりますが、30坪総2階の屋根で軒の出を90cmとか出そうと思うと、だいたい30万円前後はプラスになると思います。
あと初期費用だけではなくて、20年後、30年後に屋根を再塗装したり、雨樋や軒天のメンテナンスをする際にも、軒が深い分だけ数万円~10万円程度は、余計に修繕費用が必要になってきます。
1回の追加出費はそこまで多く感じないかもしれませんが、一生暮らす上では定期的なメンテナンス費は積み重なっていくので、デザインの好みとかメリットだけで軒を深くして、後で予想外の出費とならないように考慮しましょう。
3.土地
深い軒のデメリット3つ目は、土地の問題です。
正直これは広い土地に家を建てるとか、ある程度ゆとりのある計画の場合は考えなくても良い問題です。ただ一般的には適切な大きさの土地に家を建てる事が多いと思うので、条件によっては軒の深さがネックになる可能性があります。
基本的には、どの土地にも道路境界線と隣地境界線の2つがあり、その線を越境して家や塀などの工作物を作ってはいけませんが、上空にある軒も例外じゃないので、軒が深い家を作りたい場合にはその分だけ、境界線から下がった位置に家を建てる必要が出てきます。
あとはそれぞれ地域によって、土地の大きさに対して建築できる家の大きさが決められていて、例えば建ぺい率60%の地域で土地が40坪の場合、平屋だったらざっくり24坪までしか建てられない事になります。
しかも軒の出が1m以内なら大丈夫ですが、1mを超えた部分に関しては建築面積にカウントされてしまうので、軒の出をたくさん出したい場合には、余計に家の面積を小さくする必要が出てしまいます。
軒を深くする為に、家の間取りや大きさを我慢する人は多くないと思いますが、その制限を知らずに土地を買ってしまったり、軒が深くできない事で後悔してもいけないので、その辺りもしっかり加味して計画をするようにしましょう。
4.煽りと屋根の垂れ
深い軒のデメリット4つ目は、風の煽りと屋根の垂れです。
これは言葉の通りですが、軒の出が深い分だけ台風の時とか壁に当たった強風が吹き上がって、軒が煽られる事で建物本体に負荷がかかったり、屋根の作りによっては軒の先端部分が、経年で垂れる事も起こり得ます。
そうなると当然、メリットで解消されるはずだった雨漏りリスクも増えますし、最悪の場合は軒部分が壊れて屋根が落下して、大きな被害に発展してしまう可能性も出てきます。
基本的には、しっかり計算して適切な構造補強をしておけば防げますが、突発的な強風や予期せぬ経年変化もゼロでは無いと思うので、依頼する住宅会社にメリット・デメリットや構造上のリスクを相談して、しっかり対策を講じた上で計画をしていただけると幸いです。
●まとめ
以上、全体のまとめに入りますが、今回ご紹介した軒の深い家のメリットは、重厚感、雨除けと日除け、雨漏りの低減の3つで、反対にデメリットは、暗くて寒い、コストがかかる、土地の問題、煽りと垂れの4つになります。
それぞれの概要はここまでお話した通りで、最近は軒の出が少ない家も多くなっていますが、昔からある軒の深い家も一定の需要があります。正直どちらにしてもメリット・デメリットはあるので、どっちが正解という事は無いですし、ケースバイケースで全く良いと思います。
ただ一度作ってしまうと後から変える事ができない、大切な部分の1つになるので、今回ご紹介させていただいた内容をご家族でよく話し合ってから、自分たちの家で採用するのかの判断基準の1つに、してほしいと思います。
今回の動画が全てでは無いですが、これからマイホームを考える人にとって、少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
今後も随時更新予定です!
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