2020.08.26
【失敗しない】屋根選びの3つのポイント!プロのお勧めはこれ!
みなさんは屋根について真剣に考えたことはありますか?
確かに屋根は普段の生活ではほとんど見えないですし、あまり気にしていない方が多いように感じます。
しかし、屋根が原因で事故が起きたり、建物が弱くなってメンテナンスが必要になったりして、たくさんのお金と時間がかかる可能性があります。
正しい知識を持ちメリット・デメリットを理解したうえで、屋根を選んでもらうと良いのですが、間違った知識やなんとなくで決めてしまうと、必ず後悔してしまいす。
今回は屋根についての考え方や、屋根選びで失敗しないための3つのポイントを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
読み終わった後には、ある程度この屋根にしようと方向性を、決めてもらえる内容になっています。
注文住宅だけではなく建売や、中古住宅でも参考になりますので、これから家の購入を考えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
屋根選びで失敗しない3つのポイント
結論から言うと、屋根選びで失敗しないポイントは「屋根の表面材」「屋根の形状」「下地の作り方」この3つにこだわることです。
理由は屋根の表面材ももちろん重要ですが、どの屋根の形状にするかと下地をどう作っているかも、屋根で言う基礎部分になるため、合わせて考えることが重要です。
屋根の3つの役割
まず本題に入る前に屋根が持つ役割から、明確にしていきたいと思います。
屋根の役割は「デザイン」「雨風から建物を守る」「日射断熱で構造を守る」の3つが基本になります。
そしてこの3つが、最低でも30年、40年と暮らすマイホームにおいて、永続的に機能を果たしてくれるかが大切です。
たとえば、台風で屋根材が飛んでしまったり、誰かに怪我をさせてしまったり、地震のとき屋根の重みで建物が潰れてしまったりといったことを、起こらないようにしないといけません。
さらに、屋根から雨漏りをして構造材が腐ってしまうことを防ぐためにも、屋根はかなり重要なのです。
ポイント①「屋根の表面材」
まず、屋根選びで失敗しないための1つ目のポイント、屋根の表面材についてです。
屋根の表面材は大きな分類として、「スレート」「瓦」「ガルバリウム鋼板」の、3つに分けることができます。
現在はスレートのシェアが最も高く、最近ではガルバリウム鋼板の人気も高くなっていますが、瓦は少しずつ減少している状況です。
それぞれの特徴は、30坪2階建てを想定して作った、下の屋根材比較表を見てもらえればわかります。
比較するべき項目は、初期コスト・メンテナンスコスト・デザイン・断熱性・耐風性・耐震性・防音性の7つになります。
30坪 2階建て |
初期コスト |
メンテナンス コスト |
デザイン |
断熱性 |
耐風性 (台風災害) |
耐震性 (重さ) |
防音性 (雨音) |
スレート |
◎ 30万円 |
15年/1回 塗替50万円 |
薄型スッキリ シンプル |
△ |
△ |
◯ 900kg |
◯ |
瓦 |
△ 50万円 |
60年/1回 塗替50万円 |
洋瓦、和瓦で 各特徴がある |
◎ |
◯ |
△ 2,000kg |
◎ |
ガルバリウム 鋼鈑 |
◯ 40万円 |
30年/1回 塗替50万円 |
薄型スッキリ シンプル |
△ |
◎ |
◎ 250kg |
△ |
スレートの特徴
まず、シェアの多いスレートですが、メリットとして初期コストは安くデザインがシンプル、さらに軽いため耐震的に有利ということがあり、一時期かなり流行りました。
デメリットとしては、軽いため台風のときにあおられて飛んでしまうことと、15年に1回塗り替えが必要という2つがあります。
瓦の特徴
次に瓦ですがこれは古くから使われている素材で、和瓦と洋瓦をそれぞれの家のテイストに合わせて、使い分けることができます。
瓦のメリットは、陶器のため断熱性が高く日射から建物を守れることと、60年は問題なく塗り替え不要で使えるほどの耐久性がある点です。
デメリットとしては、阪神大震災以降は耐震的に重さがネックとなり、極端に使う人が減ってきています。
実際には屋根の重さを加味して構造計算をすれば、強度は担保されるので耐震的には問題ないのですが、やはり重いイメージが影響しています。
さらに最近はシンプルなデザインが好まれていることと、初期費用が3つの中で最も高いこともあり、よけいに瓦が使われなくなっています。
ガルバリウム鋼板の特徴
次に今、人気沸騰中のガルバリウム鋼板についてです。
ガルバリウム鋼板のメリットは金額が安く、耐久性もあり30年ほどは問題なく使い続けられることです。
さらに、1枚が長尺の板金を使っているため、台風のあおりを受けても剥がれにくいというメリットもあります。
また、見た目がシンプルなため様々な建物と合わせやすいことと、瓦と比べると10分の1程度の重量で大変軽いため、耐震的にはかなり有利になります。
デメリットとしては約0.4ミリの薄い板金を貼っていくため、屋根材自体に断熱性能や防音性能が、備わっていないことです。
そのため夏は屋根裏が熱くなったり、雨の日は雨音が聞こえたりすることがあります。
さらに、真夏には表面が高温になるため、強度や構造には問題ないのですが、板金が伸縮してベコンという音が聞こえることがあります。
ここまでが大まかな「スレート」「瓦」「ガルバリウム鋼板」のメリット・デメリットになりますので、屋根の表面材選びの参考にしてください。
ポイント②「屋根の形状」
次に屋根選びで失敗しないための2つ目のポイント「屋根の形状」についてです。
屋根の形状は大まかに「切妻(きりづま)」「寄せ棟(よねむね)」「片流れ(かたながれ)」「差し掛け(さしがけ)」「陸屋根(りくやね)」の5種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。
コストに関しては多少の違いはあるものの、それほど大きな差ではありません。
屋根形状による雨漏りリスク
この屋根形状で大きく変わってくるのが、雨漏りのリスクです。
そもそも屋根防水の仕組みは、1次防水と2次防水に分けられます。
1次防水は先ほどお伝えした屋根材で防水するイメージで、たとえばガルバリウム鋼板では、長尺の1枚物の板金を貼っていくため防水性能はかなり高くなっています。
逆にスレートや瓦では、屋根材自体に防水性能はほとんどありません。
そこで大切になってくるのが、2次防水の考え方です。
2次防水とは屋根材の下に、防水専用のルーフィングという材料を敷き詰めて、雨漏りを防ぐ方法です。
しかしこの防水方法は、屋根形状が複雑だとどうしても隙間ができやすく、雨漏りが増えるリスクがあります。
今回紹介した屋根形状の中だと、一般的には切妻、片流れ、差し掛け、寄せ棟、陸屋根の順番で、雨漏りのリスクが上昇していきます。
屋根の勾配も大切
さらに、勾配と呼ぶ屋根の傾き角度が変わることで、雨漏りのリスクも変わりますので注意してください。
この勾配が急なほど雨水が流れやすく雨漏りのリスクは減りますし、この勾配がゆるいほど雨漏りのリスクが高くなります。
そのため、陸屋根のような勾配のないフラットな屋根は、デザイン的にはシンプルでおしゃれに見えますが、1番雨漏りのリスクが高くなります。
軒ゼロは施工力が問われる
さらに、屋根の軒の出についてですが、外壁を雨だれで汚したくない方は、最低でも50センチ程度は外壁から軒の出を確保することをお勧めします。
最近では軒ゼロという、軒の出が全くないシンプルなデザインも人気があるのですが、これは施工の納め方が本当に難しくなります。
専用の部材を適切に施工をしないと、外壁の通気と屋根の通気が不十分になり、構造材を腐らせてしまう可能性があります。
私も仕事がら車で走っていて、おしゃれな家があるとつい見てしまうのですが、意外と軒ゼロで正しい納め方ができていない家をたくさん見かけます。
これは、住宅会社の情報量と施工レベルの差で起きてしまうため、しっかりと実績のある会社へ頼むようにしてください。
ポイント③「下地の作り方」
最後に屋根選びで失敗しないための3つ目のポイント、下地の作り方についてお話しします。
屋根の表面材をどんなに良いものにしても、屋根の形状をどんなにかっこ良くしても、結局その下地が駄目であれば意味がありません。雨漏りで構造材が腐ったり劣化したり、地震や台風で壊れてしまったりするかもしれません。
下地で大切な「断熱」「気密」「通気」
下地で大切になるのが「断熱」「気密」「通気」の3つになります。
屋根の断熱は家全体が熱くなるのを防ぐために必要ですが、同時に適切な気密処理と通気施工をしてあげないと、内部で結露が発生して構造材に被害が出てしまいます。
そのため住宅会社の人と屋根について話す場合は、屋根の表面材や形だけではなく、どのような断熱方法、気密方法、通気方法を行っているのか、確認するようにしてください。
多少意味がわからなくても構わないので、きちんと配慮がされているか、施工方法に根拠があるか、必ず説明してもらい確認するようにしましょう。
きちんと親切丁寧に説明してくれて、その内容が安心で納得できて、しかも共感できるようなら問題ないと思います。
ないとは思いますがはぐらかされたり、適当にスルーされたりするようなら要注意です。
まとめ
屋根の選び方を間違うと、それが原因で事故が起きたり、建物が弱くなったり、メンテナンスでたくさんのお金と時間が必要になったりと、後悔する可能性が高くなります。
そうならないためには、「屋根の表面材」「屋根の形状」「下地の作り方」の3つにしっかりこだわり、明確な根拠を持ってそれぞれを比較することが大切です。
私の会社では屋根の形状は切妻と片流れが多く、屋根の表面材はほぼ100%が、ガルバリウム鋼板を使っています。
屋根の下地に通気層をしっかりと設け、屋根の下に吹き付けの断熱材を直接施行し、断熱性能と気密性を担保しています。
この方法が絶対に1番良くて正しいとまでは言いませんが、コストパフォーマンスや性能などのトータルバランスが良いので、お客様に自信を持って提案しています。
住宅会社によって屋根に対する考え方や、使っている素材と施工力もバラバラなので、まずは自分たちの基準を持つことが大切です。
これから家づくりを考えている人にとって、今回のブログが少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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