2023.11.12
【注文住宅】V2H導入はリスキー!?後悔しないための5つのポイント【マイホーム・家づくり】
最近ニュースで取り上げられることも多い「V2H」ですが、導入して“お得感”を感じられるかどうかは、ご家庭のライフスタイルや日常ルーティーンによります。
そのため、残念ながらハウスメーカーに勧められたままにV2Hを設置した方の中には「いらなかった」「うまく活用できずあまり使えなかった」と、後悔してしまう方も多いのです。
しかし、インターネットなどでは「電気代が削減できる」などのメリットが全面に押し出されていますよね。
それでは、果たしてご自宅にV2Hを導入するかどうか判断しづらいでしょう。
そこで、今回はV2H導入をおすすめするケースを紹介します。
これからマイホームの新築を検討している方はもちろん、今のお住まいへの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
V2Hとは?メリットは?
V2H(Vehicle to home)とは、和訳すると「車から家へ」という意味になります。
電気自動車やハイブリッド車に蓄えられた直流電力を、家電製品などに使えるように交流電力へ変換して自宅へ送り込む装置です。
通常、電気自動車は専用の充電ケーブルから搭載している蓄電池を充電し、その電力を使って走行します。
この場合、自動車が蓄えた電力は他の用途に使えません。
しかし、V2Hを設置すると、電気自動車に蓄えられた電力を、自宅でも使えるようになるのです。
そのため、停電時に電気自動車の電力を予備電源として活用できるため、防災設備としても注目されています。
環境省が普及促進している「ゼロドラ“走行時のCO2排出量がゼロのドライブ”」では、日中の太陽光発電で発電した電力のうち、余った電力をEVへ充電し、夜間や雨天時などはそれを自宅で利用するモデルケースを紹介しています。(参考:環境省|LET’S ゼロドラ!!)
V2Hのデメリットはずばり「コストの高さ」補助金も終了
V2Hは「暮らしの省エネ性」を高め、地球環境や家計への負荷を軽減できる画期的な装置です。
2012年にニチコンが世界で初めて「V2HシステムEVパワー・ステーション」を販売し、省エネ設備として一気に認知されました。
しかし、まだまだ普及台数は多くないため、導入コストが高い点は否めません。
一般社団法人次世代自動車振興センターが公表している「都道府県別外V2H充放電設備補助金交付台数」を見ると、2020年から2022年までで全国「6,098台」しか設置されておらず、政府が推奨している割にそれほど普及が進んでいないことがうかがえます。
V2H普及を後押ししていた「V2H充放電設備導入補助事業」が2023年5月に受付終了になったことで、今後はより普及が鈍化する可能性があります。
補助金の支給がひとまず終了したことで、導入コストは基本的に100%自己負担になってしまいます。
ご家庭によっては、この初期費用を回収するまでかなりの年数を要する可能性も考えられるでしょう。
そのため、導入を検討している方の中には、「初期コストを本当に回収できるのか」「果たして月々の電気代は削減できるのか」と疑問に思う方も多いはずです。
結論を言うと、初期コストをどのくらいで回収できるのかや、月々どのくらいの電気代を削減できるのかは、ご家庭ごとのライフスタイルによります。
そのため、ハウスメーカーや工務店に勧められるがままにV2Hを導入するのではなく、ご自身の生活がV2Hのある暮らしに適しているかを見極めることが重要です。
V2H導入をおすすめする5つのケース|太陽光発電との組み合わせ・ライフスタイル・対応車種
V2Hを設置するだけで確かに光熱費の削減につながりますが、それが100万円以上のコストをかけて導入するに値するかどうかは、ご家庭によって異なります。
太陽光発電システムと併せて導入するのかや、停電時にどれほどの電力を使いたいのか、そして日頃どのようなリズムで生活するのかによって、コスパが変わってくるのです。
では、V2Hの効果を高めるコツを紹介します。
太陽光発電システムと併せて導入する場合
V2Hと太陽光発電はセットで導入を勧められることが多いですが、V2H単体でも設置可能です。
ただし、V2H自体には発電や蓄電の性能はないため、電気自動車の充電は電力会社から購入する電力に頼らなくてはいけません。
そのため、高い費用をかけてV2Hを導入しても、電気自動車の余剰電力を家庭内に戻せる利便性しかなく、大きな節電効果はあまり期待できないでしょう。
一方、太陽光発電システムも併せて導入すると、V2Hを通して自然エネルギーを電気自動車の充電に使えるだけではなく、余剰電力を売電することもできます。
そのため、一般的にはV2Hと太陽光発電システムをセットで導入する事例が多いのです。
「V2H+太陽光発電+家庭用蓄電池」のフル装備を設置したい場合には、全ての機能を一体化させた「トライブリッド蓄電システム」をおすすめします。
ただし、V2Hや太陽光発電、蓄電池を導入するとなると、初期コストは400万円以上になるケースもあります。
そのため、建築会社と発電効率を慎重に確認してください。
停電時に多くの電気を使いたい場合
停電時にいつも通りの電気をたくさん使う生活を維持したい方は、V2Hの導入を検討してみてください。
V2H自体には発電や蓄電の能力はありませんが、電気自動車のバッテリーを蓄電池とすると、停電時の防災設備としても活用できます。
ここでポイントなのが、家庭用蓄電池よりも電気自動車に搭載されたバッテリーの方が貯められる電気容量が大きいという点です。
【蓄電設備】 | 【バッテリー容量】 |
日産・リーフ(ベースグレード) | 40kW /h |
トヨタ・ハイブリッド車RAV4 | 18.1kW /h |
家庭用蓄電池 | 5kWh〜10kWh /h |
蓄えられる電力量の差をみると、家庭用蓄電池よりもV2Hを通して電気自動車へ電気を貯めた方が、停電時に使える電力量は多いことは一目瞭然ですよね。
V2Hの機種によっては、日常生活で必要な電力を、最大で2~4日の間、電気自動車のバッテリーだけで確保できる可能性もあります。
一日の大半、車が自宅にある場合
V2Hは、電気自動車が自宅にある状態でなければ機能しません。
太陽光発電で得た電力を電気自動車へ送る場合も、電気自動車に蓄えられている電力を自宅へ送る場合も、自動車が自宅にあることが大前提です。
そのため、V2Hをフル活用するためには、長時間自宅に駐車しておかなくてはいけないということになります。
そのため、自動車通勤の方や頻繁に車で出かけるご家庭ですと、あまりメリットを実感できないかもしれません。
車で出かけることが多いご家庭は、V2Hよりも家庭用蓄電池をおすすめします。
自動車で遠出することが多い場合
電気自動車をコンセントから充電する場合、ゼロから満タンの状態にするまで、10時間以上かかってしまいます。
また、年々増えているものの、CHAdeMO(急速)充電できるスポットは、全国で1万ヶ所もありません。(参考:GoGoEV|EV充電スタンド情報サイト)
ところが、V2Hを介して充電すると、一般のコンセントよりも急速に充電でき、機種によっては自宅でも5時間程度で満タンになります。
そのため、頻繁に車で遠出するご家庭や、電気自動車を充電できる施設が少ないエリアにお住まいの方には、V2Hをおすすめします。
これから電気自動車を購入する場合
V2Hを導入する際に気をつけなくてはいけないのが、全ての電気自動車(EV)が対応していないという点です。
今乗っている車が電気自動車やハイブリッド車であっても、V2Hの対応車種でなければ、充放電できません。
そのため、これから電気自動車を買い替える方は、ぜびV2Hを検討してください。
一方、既に電気自動車を持っている方は、V2H導入コストに加えて自動車の買い替え費用まで発生してしまいます。
各社対応車種の一部は以下の通りです。
【メーカー】 | 【主な車種】 |
TOYOTA | MIRAI プリウス |
NISSAN | リーフ SAKURA |
HONDA | Honda e |
SUBARU | SOLTERRA |
MITSUBISHI | エクリプスクロス アウトランダー |
V2Hは日本初の技術であるため、外車で対応しているメーカーはベンツやヒュンダイなどごくわずかです。
また、マツダなど国産車でも非対応のメーカーもありますので、V2Hを導入する場合は車種選びにも十分気をつけてください。
まとめ
V2Hは、電力を無駄なく活用でき、太陽光発電と組み合わせると電力会社に頼らない省エネな生活を実現できる設備です。
ただし、どのご家庭にもおすすめできる訳ではありません。
生活リズムなどによって、高額な導入コストをなかなか回収できない可能性もあるからです。
そのため、V2Hの導入を検討する際には、省エネ住宅への知識が豊富な建築会社へ相談しましょう。
省エネに適したトータルプランを提案してもらえるはずです。
以前の動画では、太陽光発電や家庭用蓄電池について詳しくお伝えしていますので、興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。
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