2024.09.10
住宅ローン控除の期間が終わるとどうなる・住宅ローン控除がなくなるとどうなる|年末調整の仕方など解説
「マイホームを購入すると住宅ローン控除で減税される」と耳にして、詳しい意味がよくわからないとお悩みの方は多いと思います。
また「住宅ローン控除の期間」よりも「住宅ローン控除が終わった後の住宅ローン返済期間」のほうが長いので、住宅ローンが終わるとどうなるのかも気になりますよね。
そこで今回は愛知で多くのご家族のマイホームづくりをサポートしてきた工務店『ハピナイス』が、以下の項目をわかりやすく解説します。
コラムのポイント
- 住宅ローン控除の制度内容、住宅ローン控除を活用する流れを確認できます。
- 住宅ローン控除が終わるとどうなるのか、手続きや税金面の疑問を解消できます。
- 「住宅ローン控除」という制度自体が終わる可能性についても、お伝えします。
- 住宅ローン控除を活用する際の注意点も、確認しましょう。
※2024年時点の最新情報をお伝えします。
住宅ローン控除は、住宅ローンを無理なく返済するために役立つ制度です。
余裕のある資金計画でマイホームプランを組み立てるために、ぜひ最後までごらんください!
住宅ローン控除とは
はじめに、住宅ローン控除の制度内容を確認しましょう。
税金関連の制度は複雑なので、わかりやすく解説します。
控除の内容
住宅ローン控除は所得税の減税制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
一般的に「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」など略して呼ばれています。
住宅ローン控除の目的は「国民の住宅確保を促進すること」で、住宅ローン控除を活用すると、住宅ローンの返済残額が大きい借入当初の期間に、返済負担を軽減できます。
住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除を活用するためには、適用条件に該当している必要があります。
住宅ローンの主な適用条件を紹介します。
適用条件 |
内容 |
居住開始期間 |
新築から6ヶ月以内に居住し、その年の12月31日まで居住を継続 |
床面積 |
50㎡以上で、1/2以上が居住用 |
所得額 |
2,000万円以下 |
住宅ローン |
返済期間10年以上、金利0.2%以上 |
住宅の販売者 |
同じ家計内で生活している親族等以外
※贈与で住宅を受け取る場合も、住宅ローン控除対象外 |
上記に該当しない場合の特例(例:「床面積40〜50㎡の住宅に対する特例」など)もあるため、住宅ローン控除を活用する際には、一度「年末調整の手引き(税務署が配布しています)」を確認する必要があります。
不明点は、マイホームの住所地を管轄する税務署に問い合わせをしましょう。
店舗併用住宅の住宅ローン控除適用条件を、こちらの記事で確認できます。
〈おすすめコラム〉店舗併用住宅の建築基準法における定義と新築ポイントを解説
住宅ローン控除の計算方法|住宅ローン控除の額
住宅ローン控除を活用すると、13年or10年間に渡って所得税の減税が適用されます。
計算方法は、以下のとおりです。
住宅の区分:減税期間 |
計算方法 |
省エネ性能の高い住宅:13年 |
住宅ローンの年末残高等※×0.7% |
省エネ性能の高い住宅以外:10年 |
※住宅ローンの年末残高は、指定の計算方法で計算します。(例「ペアローンの場合は持ち分割合に応じる」「新築時に補助金を活用する場合は補助額を差し引く」など)
ただし、住宅の省エネ性能に応じて所得税の減税額に上限がある点に注意が必要です。
「所得税の減税額に上限がある=住宅ローン控除の計算に使用する「住宅ローンの年末残高額」にも上限がある」ということなので、「減税額の上限」「年末残高の上限」どちらも紹介します。
住宅の区分
|
居住開始年
(令和) |
減税額の上限
(年末残高の上限) |
省エネ性能の高い住宅 |
認定長期優良住宅 |
4.5 |
35万円
(5,000万円) |
6.7 |
31.5万円
(4,500万円) |
認定低炭素住宅 |
4.5 |
35万円
(5,000万円) |
6.7 |
31.5万円
(4,500万円) |
特定エネルギー消費性能向上住宅 |
4.5 |
31.5万円
(4,500万円) |
6.7 |
24.5万円
(3,500万円) |
エネルギー消費性能向上住宅 |
4.5 |
28万円
(4,000万円) |
6.7 |
21万円
(3,000万円) |
省エネ性能の高い住宅以外 |
4.5 |
21万円
(3,000万円) |
6.7 |
14万円
(2,000万円)※ |
※「省エネ性能の高い住宅以外」を購入して令和6・7年に居住する場合、「令和5年末までに建築確認申請を受けるor令和6年6月末までに建築」を条件に、住宅ローンの年末残高2,000万円を上限として、住宅ローン控除を計算できます。(条件に該当しない場合は、住宅ローン控除の対象外となります)
上記の表から、例えば【認定長期優良住宅・令和5年に居住開始・住宅ローンの年末残高5,500万円】の場合、住宅ローン控除を活用して所得税を減税できる額は、「5,500万円×0.7%=38.5万円」ではなく、「35万円」となる点に注意しましょう。
住宅ローン控除適用に必要な書類
住宅ローン控除適用に必要な書類は、以下のとおりです。
- 住宅ローン控除の計算書:税務署が発行している様式を使用
- 住宅ローンの年末残高を証明する書類:金融機関が発行
- 住宅の登記事項証明書:法務局で取得
- 住宅の価格を確認できる書類:「工事請負契約書」「売買契約書」など
- 省エネ性能が高い住宅の場合、住宅の区分(認定長期優良住宅など)を確認できる書類:認定証など
- 省エネ性能が高い住宅以外に令和6・7年から居住開始する場合、建築確認申請の日付がわかる書類or住宅の登記事項証明書
基本的には国税庁が「住宅ローン控除の適用条件に該当するか」「住宅ローン控除計算書の記載事項に間違いがないか」を確認するための書類はすべて提出が必要なので、上記以外の書類を提出するケースもあることを念頭に置いておきましょう。
住宅ローン控除適用の流れ
住宅ローン控除適用の流れは、以下のとおりです。
住宅を購入し、6ヶ月以内に居住
↓
住宅購入後に、金融機関から「住宅ローンの年末残高証明書」がご自宅へ送付される
↓
1年目の年末調整(住宅ローン控除の計算はせずに、通常どおり年末調整)
↓
住宅を購入した翌年の3月15日までに確定申告。この確定申告で初めて住宅ローン控除を計算し、税務署に書類を提出
↓
確定申告で指定した銀行口座に、所得税の還付額(「1年間に支払った所得税額−減税額=マイナスになった額」が振り込まれる
↓
11月末頃までに、税務署から住宅ローン控除該当年分の「住宅ローンの年末残高等証明書」がご自宅へ送付される
↓
2年目の年末調整(税務署から届いた「住宅ローンの年末残高等証明書」を勤務先に提出する)
↓
3年目以降も、「住宅ローンの年末残高等証明書」を勤務先に提出して年末調整
住宅ローン控除の制度内容を紹介してきました。
住宅ローン控除は、大まかにいうと「住宅ローンの年末残高の0.7%を受け取れる制度」で、特に「金利1%以下」で住宅ローンを利用している方にとっては、魅力的な制度ですよね。
ただし住宅ローン控除の期間は10年・13年のため、住宅ローン控除が終わる11年目・14年目以降はどうなるのかを、次に解説します。
愛知でマイホームを検討中の方は、ハピナイスにお問い合わせください。
資金計画についてご相談いただけるイベントを開催しております。
住宅ローン控除の期間が終わるとどうなる|11年目・14年目以降の年間調整の仕方
住宅ローン控除の期間は以下のとおりで、11年目以降・14年目は「所得税の減税」というかたちでの優遇制度は無いため、年末調整の際に住宅ローン関係の書類提出は必要ありません。
- 省エネ性能の高い住宅以外:10年
- 省エネ性能の高い住宅:13年
11年目・14年目には住宅ローンを3割前後返済し終えている状況で残高も減少していますが、「住宅ローンの返済負担を軽減できる方法があるなら知りたい」とお考えの方が多いのではないでしょうか。
そこで次に、住宅ローン控除の終了後に住宅ローンの返済負担を軽減するための選択肢を紹介します。
住宅ローン控除終了後の選択肢|借り換え、繰り上げ返済など
住宅ローン控除の終了後に住宅ローンの返済負担を軽減するための主な選択肢は、以下のとおりです。
- 住宅ローンの借り換え
- 住宅ローンを繰り上げ返済
- 住宅の買い替え
- 上記以外の方法で手持ち資金を活用する
それぞれ、簡単に解説します。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンの金利負担を感じている場合は、より低金利の住宅ローンに借り換える選択肢があります。
ただし住宅ローン借り換えの際には以下のような手数料が発生するため、「借り換え前の総返済額」「借り換え後の総返済額+借り換え時の手数料」を比較し、本当にメリットがあるのかを確認してください。
- 借り換え前の金融機関へ支払う繰り上げ返済手数料
- 借り換え後の金融機関へ支払う事務手数料、保証料
- 登記費用(抵当権抹消、抵当権設定)など
住宅ローンを繰り上げ返済
住宅ローン残高があること自体に負担を感じる場合は、繰り上げ返済で残高を減らす選択肢があります。
繰り上げ返済後の住宅ローンは「返済期間が短縮される」「毎月の返済額が減少する」どちらかで、金融機関によって取り扱いが違います。
また、繰り上げ返済時に手数料が発生する場合もあるため、改めて住宅ローン規約を確認してから繰り上げ返済を検討することをおすすめします。
「余裕があるときにこまめに繰り上げ返済をしたい」とご希望の場合は、繰り上げ返済手数料がない住宅ローン商品を選ぶことも大切です。
住宅の買い替え
「住宅購入後に地価が上昇した」「市場の不動産価格が高騰してご自宅の価値が上昇した」という場合には、住宅を買い替える選択肢もあります。
「住宅の売却価格−諸経費」「住宅ローンの残債+買い替え後の住宅確保に必要な費用」を比較して、買い替えが負担にならないかを確認しましょう。
住宅売却・買い替えともに諸経費(売却・買い替え時に発生する不動産手数料など)が発生するため、諸経費まで含めて計算をすることが大切です。
住宅購入時の住宅ローンの決め方を、こちらの動画で解説しています。
借り換え・繰り上げ返済など以外の方法で手持ち資金を活用す
住宅ローン控除が終わる際には住宅ローンを減らす方法を考えがちですが、手持ち資金を別の用途に活用する選択肢もあります。
例えば「ふるさと納税で節税」「iDeCo※で節税」などの方法があるため、一度確定申告書に目を通し、住宅ローン控除以外の減税項目を確認してみましょう。
※「iDeCo」(イデコ)とは個人型の確定拠出年金で、年末調整時に掛け金を所得額(所得税の計算の元になる額)から直接差し引けるため節税できます。
ただし掛け金を運用し、運用損益によって年金が加算・減算される投資商品なので、損失が発生する可能性もある点に注意が必要です。
紹介してきたとおり、住宅ローン控除が終わった後にも「住宅ローン返済の負担を軽減する・手持ち資金を活用する」方法はあるため、ご家族の状況・価値観に応じて住宅ローンの取り扱いを判断していただけると幸いです。
「住宅ローン控除」という制度自体がなくなるととどうなる
ここで、住宅ローン控除は所得税の減税効果を縮小しながら実施されてきた制度のため、「今後、住宅ローン控除という制度自体がなくなる可能性はあるのか」と不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
「住宅ローン控除という制度がなくなる可能性」「住宅ローンがなくなるとどうなるか」については、現状では予測しづらい状況です。
ただし現時点では、「子育て世帯の支援」「住宅価格の高騰」という2つの視点から、令和6・7年に居住を開始する住宅は、適用要件を満たすことで住宅ローン控除を活用できることが決定しています。
令和8年以降の住宅ローン控除実施については、過去の報道発表の流れと同じであれば、令和6年末までに方針が公表されると想定できるため、最新情報を確認していく必要があります。
また、国は住宅ローン控除をはじめとする税の優遇制度と並行して、補助金でも住宅取得を支援しています。
補助金も住宅購入時の費用負担を大きく軽減できる制度なので、住宅ローン控除とともに最新情報を確認していきましょう。
補助金を活用できる例として、太陽光発電設置時の補助金などがあります。太陽光発電について、こちらの記事で後悔しない判断方法を紹介しています。
〈おすすめコラム〉太陽光発電は時代遅れなのか|やらなきゃよかったと後悔しないために最新のメリット・デメリットを解説
愛知でマイホームを検討中の方は、ハピナイスにお問い合わせください。
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住宅ローン控除Q&A
最後に、住宅ローン控除について疑問をお持ちの方からハピナイスがよくいただく質問・回答を紹介します。
住宅ローン控除期間の終了と同時に繰り上げ返済するとお得なのか
繰り上げ返済は、「金利の支払い額減少(住宅ローンの総支払額減少」につながります。
そのため、金利が高い住宅ローンを利用している方ほど、住宅ローン控除期間の終了と同意に繰り上げ返済をするとお得と考えることができます(住宅に対する費用負担が減少します)。
ただし住宅ローンはローン商品の中でも金利が低いため、手持ち資金を繰り上げ返済に使うかどうかは、ご家族の状況に応じて慎重に検討することをおすすめします。
過去と比較して住宅ローン控除の額が減少した理由を知りたい
住宅ローン控除の額が減少した理由は、低金利の住宅ローン利用者が多く、住宅ローン控除の活用で「金利支払額<所得税の減税額」となるケースが増えたためです。
現在、住宅ローン金利の引き上げが実施されていますが、金利引き上げに伴う住宅ローン控除額の増加が実施されるかどうかは不明で、「住宅ローン控除の増加は実施されない」と予測している専門家の声が多数ある状況です
住宅ローン控除1年目の確定申告を忘れてしまった。対処法を知りたい。
住宅ローン控除1年目の確定申告を忘れてしまったら、「なるべく早く確定申告をすることと」されています。
ただし、「基本的には病気・災害などが原因の場合に申告期限を個別延長できる」と規定されている点を、念頭に置いておきましょう。
また、所得税の還付申請ができる期限は5年間です。
〈参考〉国税庁ホームページ>トップページの検索窓に「期限までに申告等ができなかった場合の個別延長」と入力して検索
住宅ローン控除1年目の確定申告期から5年を過ぎている場合は、過去5年間の住宅ローン控除額がどのような取り扱いになるかを、税務署に相談することをおすすめします。
まとめ
「住宅ローン控除が終るとどうなるか」について、「住宅ローン控除期間が終るとどうなるか」「住宅ローン控除の制度自体がなくなるととどうなるか」という2つの視点で解説してきました。
住宅ローン控除は制度内容が複雑で詳細な適用条件もあるため、住宅購入を検討し始めた段階で最新の制度内容を確認しておきましょう。
今回紹介した内容を、住宅ローン控除の手続きをする際に活用していただけると幸いです。
この記事の監修者
林 拓未
HAPINICE 代表取締役
ものごころ付いた時から、わたしの周りには大工道具と木がありました。
祖父の宮大工としての技術を受け継ぎ、父が築いた住宅づくりの伝統を、わたしも3代目として守り続けています。
家づくりは多くの方にとって人生の一大イベントであり、安心して暮らせる「家」という土台を共に築くことが、家族の幸せと豊かさにつながると信じています。
【スタジオ】
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- 建設業許可番号:愛知県知事許可 (般-2) 第59940号
- 一級建築士事務所番号:知事登録 (い-5)第14234号
- 宅地建物取引業者番号:愛知県知事(2)第23925号
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