2020.07.30
【断言】欠陥住宅は「普通に」あります!工務店社長(元大工)がリアルな現場事情を大暴露!
世の中には普通に欠陥住宅が存在します。
時々テレビで住宅メーカーの不祥事が取り上げられているため、それほど驚くことではないかもしれませんが、自分たちのマイホームが欠陥住宅になるのは絶対にイヤですよね。
少し前に私がインスタグラムで同じことを発信したところ、結構反響がありましたので今回はブログでも、分かりやすくお伝えしたいと思います。
自分が大工として培った現場の経験と、現在工務店を運営している経営者の立場から、その実情・事情を踏まえてリアルな話をしたいと思います。
欠陥住宅は過失的なものもある
結論から言うと欠陥住宅は故意的なものだけではなく、知らない間にできている過失的なものもあります。
だからこそ余計にタチが悪いと言えますが、家を建てる方も欠陥住宅についての最低限の知識と、それを見極める基準を持つことが大切になってきます。
今回の内容は少し長くなりそうでしたので、前編と後編に分けて2部構成で作ってあります。
このブログの内容をしっかり理解し気をつけながら工務店を見てもらえれば、注文住宅か建売かに関わらず欠陥住宅にあたる可能性は限りなく低くなると思います。これから家づくりを考えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
欠陥住宅の定義とは
本題に入る前にまず私が考える欠陥住宅の定義をお伝えします。
たとえば、木の伸び縮みによるちょっとした壁のゆがみや床の傾き、壁紙のかどのジョイントが切れるなど、こうしたものは欠陥住宅にあたりません。これは当たり前に自然現象として起きることで、これに抵抗がある方は木造住宅には住めないと思います。
いくら建物の基礎をコンクリートで強固にしても、上に積む構造材に木を使いそこに壁や床を貼るため、多少の誤差は避けられません。賛否両論あるかもしれませんが、この点を前提としてここからの話しを読んでいただきたいと思います。
下請け構造の闇
それでは本題に入りますが今回は前編として、下請け構造の闇についてお伝えします。
これは私が大工時代に実際に目の当たりにした欠陥住宅のエピソードです。
私は17歳から代替わりをする27歳までの約10年間、大工職人として現場で家を建ててきました。
当時はお客様から直接仕事をいただく元請けの仕事と、別の元請けから仕事をいただく下請けの仕事を、およそ半々に行っていました。下請けでは大手ハウスメーカーの家や建売住宅、木造アパートも作りましたので、実際の職人事情もある程度はわかるつもりです。
金物がなくても中間検査合格
その中でローコストメーカーの建売の仕事を手がける機会がありました。職人同士の横のつながりで、ちょっと工期に間に合わないから手伝ってほしいと頼まれ、仕事も調整できたため1週間ほど大工として応援に行ったのです。
そのときはちょうど行政の「中間検査」のタイミングであり、建物を耐震的に強くする柱や筋交といった構造材が付けられている状態でした。
そしてその構造材を固定する金物を、計算された図面に指示されている通りに、取り付けることろからが私の仕事です。
金物を付けておかないと中間検査は合格しないため、私は「中間検査はいつですか?」と応援を頼んでくれた人に聞きました。
すると「もう中間検査は済んでいるから適当につけてくれればいいよ」と言われ、私は金物が付いてなくても合格できるのだと、初めて知りかなり驚きました。
自分で言うのもなんですが私は真面目なため、すでに合格していたとしても図面通りに金物を付けましたが、付けなくても通るのなら何のための検査なのかな?と疑問に思いました。
基準より短い釘を打っていい
家の中の壁はクロスの下地になるボードを、その下に野縁や胴縁という材料を重ねて柱に釘で打ちますが、何ミリの長さの釘を使うという基準が決まっています。
その現場では65ミリの釘を打つと決まっていたので、「65ミリの釘はどこにありますか?」と聞くと「50ミリの釘で打ってくれればいいよ」と言われました。
決められたものでやらないと強度が保たれないのに、そんな意識で仕事をしていて良いのかと私は感じてしまいました。
短い釘を使ってしまう理由
なぜわざわざこの現場では短い釘を使ったのでしょうか。
実は大工さんが仕事を受ける発注単価の中には、自分の手間賃だけでなく釘代やビス代なども含まれています。
そのためできるだけ短い釘にして釘代を安く済ませれば、手元にお金が多く残ることになるため、大切なところなのに削ってしまったのです。
私がいたのは初期段階の1週間だけでしたので、その後どのように作られたかはわかりません。
しかし長い釘を使うべきところに短い釘を使い、耐震金物を付けていないのになぜか検査が受かっている現実が、そこにはあったのです。
極端な短期工事や安い発注金額が原因
このようなことが起きる原因が、実は下請け構造の闇なのです。
誤解してほしくないのですが、下請けが駄目というわけでもないし、建売住宅が駄目なわけでもありません。
元請け会社から下請けに依頼する際に、極端に工期が短かったり金額が安く発注されたりすることが、先程のケースの原因なのです。たとえば、30坪の家を大工さん1人で建てるときに、工事期間が60日で100万円の発注単価が適性だったとします。
しかし、元請けから下請けへの無理強いで工事期間は40日、発注単価は70万円でやってくれと言われたら、丁寧にやりたい大工さんでもやはり早さを優先してしまいます。
元請けと下請けという構造である以上、期日を過ぎたら次に仕事がもらえなくなるかもしれないし、発注単価を交渉するにしても立場的には実際難しいのです。
工事期間の短縮はとても苦しい
のんびり仕事をしていたら自分の手残りがなくなってしまうような状況では、大工さんはさっさと仕事を終わらせるしかありません。しかし工場のように夜勤や残業ができればいいのですが、現場は近所の目があるため仕事は月曜から土曜日まで、時間も朝8時から夜6時までが限界です。
そうした限られた時間の中でやらなければいけないため、大工さんにとって工事期間の短縮は非常に苦しいものなのです。
元請け側の心理は?
元請け会社とすれば発注単価が安くできればその分利益も残るし、工事期間を短くすることでお客様からの資金回収も早くなるため、資金繰りには有利になります。発注単価もできるだけ落としたいし、工事期間もできるだけ圧縮したいのが元請け会社の心理なのです。
私の大工時代の兄弟子は仕事が早い上に仕上がりは丁寧でしたが、うまくそのような大工さんに当たれば安心かもしれません。
しかし、どの大工さんもそうとは限らないため、下請け構造の闇という負のスパイラルによって欠陥住宅が生まれやすくなっているのです。
さいごに
最近私の会社のお客様になっていただいた方は、とあるローコスト住宅と建売を建てている会社の管理職の方が、身内にいました。
そのお客様との打ち合わせ中に「なぜ管理職の方の会社を検討されなかったのですか?」と疑問に思ったことを聞いてみました。
するとその管理職の方には「ウチで建てるのは止めた方がいいよ」と言われたそうです。
それ以上は深く聞かなかったのですが、要はあまりいい家ではないよということかなと思いました。
次回は後編として「現場管理体制の闇」という話をしたいと思います。
欠陥住宅を避けるにはどうすればいいのか、深掘りしてお伝えしますのでぜひ次回も読んでみてください。
ご覧いただきありがとうございました。
今後も随時更新予定です!
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