太陽光発電は時代遅れと言われる理由|7割損、未来はないなど
「太陽光発電は時代遅れ」などネガティブに評価される理由を、それぞれ紹介します。
太陽光発電は7割損と言われる理由は費用
過去にメディアから報道された「太陽光発電は7割の人が損をする」という情報の印象が現在も継続している部分があります。
太陽光発電の導入には軽くない費用負担があることは事実ですが、この報道は10年以上前のもので、現在は太陽光発電の前提となる導入・メンテナンス費用、売電価格などが大きく変化している点も念頭に置いて太陽光発電の導入を検討する必要があります。
太陽光発電に未来はないと言われる理由は売電価格の低下
「太陽光発電に未来はない」と言われる理由は、売電価格の低下です。
売電価格とは、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に定められた調達価格をいいます。
具体的には、発電した電力を電力会社に売るときの固定価格です。
住宅用太陽光発電(出力10kW未満)の売電価格は、制度開始当初は42円/kWhでしたが、2024年度は16円/kWhと低下しています。
<参考>経済産業省資源エネルギー庁|買取価格・期間等
太陽光発電は危ないと言われる理由はメガソーラーの火事
「太陽光発電は危ない」と言われる理由は、相次いで発生したメガソーラーなどの火事が原因だと考えられます。
※メガソーラーとは、空き地などに設置される大規模な太陽光発電システムのことです。
家庭用太陽光発電においても火事が生じた事例があります。
ただし、火災の原因が太陽光発電設備にあると明らかにされた事例はごく少数です。
太陽光発電は停電時・災害時に使えないと言われる理由は知識不足など
「太陽光発電は停電時・災害時に使えない」と言われる理由は、販売側の説明不足と購入側の知識不足などが考えられます。
一般的な太陽光発電システムは、停電時でも自立運転に切り替えて発電量に応じた電気の利用が可能です。
機種によって異なる場合もありますが、停電時に電気を利用するための一般的な流れを紹介します。
【停電時に電気を利用する流れ】
パワーコンディショナにエラーコードが表示される
↓
パワーコンディショナの運転スイッチを切る
↓
太陽光発電ブレーカをOFFにする
↓
パワーコンディショナの運転スイッチを入れる
↓
自立運転が開始される
↓
パワーコンディショナの自立運転用コンセント(非常用コンセント)に電気製品のプラグを差し込む
ただし、停電時の太陽光発電には以下の点に注意が必要です。
- 雲の日など日射が不足していると、正常に動作しない場合がある
- スマホの充電や冷蔵庫の稼働はできても、エアコンなど消費電力の高いものは使えない場合がある
- 夜間など発電がないときは、蓄電池がなければ電気が使えない
太陽光発電をやらなきゃよかったと後悔しない7つの方法
太陽光発電を「やらなきゃよかった」と後悔しない方法を紹介します。
- 売電or自家消費を慎重に選択
- 蓄電池を併用するか慎重に検討
- 初期費用の支払い方法を慎重に選択
- 発電量を正確にシミュレーション
- メンテナンス頻度・費用を確認
- 依頼業者を厳選
- 住宅設計への影響を把握
ネガティブな意見が少なくない太陽光発電だからこそ、後悔しないための方法を把握しておくことが大切です。
売電or自家消費を慎重に選択
発電した電気の活用方法には、「電力会社に電気を売る売電」「ご家庭で使う自家消費」の2つがあります。
電気の売電価格は2024年度で16円/kWhですが、電気の購入価格は31円/kWh(公益社団法人全国家庭電気製品構成取引協議会)が目安です。
したがって、太陽光で発電した電気を売るより、ご家庭で使って電気を買わないほうが経済的なメリットは大きくなります。
売電収入だけを見込んで太陽光発電設備を導入すると、「やらなきゃよかった」と後悔しがちです。
太陽光発電を設置する際は、売電を前提とせず、全量自家消費型システムの採用も検討しましょう。
こちらの記事では、太陽光発電に限らない注文住宅の失敗例を紹介しています。
<関連記事>【注文住宅の失敗例】ランキング“トップ10”を解説|対策・成功ポイントも
蓄電池を併用するか慎重に検討
太陽光発電は、発電した電気をためる蓄電池との併用も検討しましょう。
蓄電池があると、昼間に発電した電気をためて、発電できない夜間に使用できます。
特に全量自家消費で蓄電池がない場合、発電時にご家庭で電気を使わなければ電気を無駄にしてしまいます。
しかし、蓄電池を併用すると初期費用の負担が大きくなるほか、蓄電池のメンテナンスも必要です。
メリット・デメリットの双方を考慮して、蓄電池の併用を検討してください。
初期費用の支払い方法を慎重に選択
経済産業省資源エネルギー庁に設置された調達価格等算定委員会によると、2023年度に設置された住宅用太陽光発電のシステム費用の平均値・中央値は28.8万円/kWでした。
容量が5kWの場合、初期費用は144万円が目安です。
<参考>経済産業省資源エネルギー庁|令和6年度以降の調達価格等に関する意見|20頁
初期費用の支払い方法は以下のとおりです。
- 一括払い(現金)で支払う
- (新築時)住宅ローンの諸費用に組み込む
- ソーラーローンを利用する
また、購入ではなく、初期費用が不要となるリースを利用した導入方法もあります。
- 事業者が、自身のものとして初期費用を負担し、ご自宅に太陽光発電を設置する
- 毎月リース料金を支払う
- 10~20年程度の契約期間が終了すると、太陽光発電システムがご自身のものになる
初期費用には多様な支払い方法があるので、ご自身に合う方法を検討しましょう。
発電量を正確にシミュレーション
経済的にみると、太陽光発電の後悔は導入や運用、廃棄にかかる費用より得られるリターンが少ない場合に生じます。
したがって、太陽光発電にかかるトータルコストと、自家消費による電気代削減額や売電額を比較するシミュレーションが欠かせません。
しかし、シミュレーションに必要な発電量は、天候や機器性能(効率)など不確実な要素に左右されます。
太陽光発電事業者や新築時の施工業者に、正確なシミュレーションを依頼することが大切です。
メンテナンス頻度・費用を確認
太陽光発電のシミュレーションでは、メンテナンス頻度や費用も考慮しましょう。
メンテナンス頻度や費用が高ければ、太陽光発電にかかるトータルコストも増加します。
なお、前述の調達価格等算定委員会によると、住宅用太陽光発電にかかる運転維持費の想定値は年間3,000円/kWです。
<参考>経済産業省資源エネルギー庁|令和6年度以降の調達価格等に関する意見|23頁
依頼業者を厳選
太陽光発電の導入に関して、太陽光発電業者にまつわるトラブル事例も報告されています。
特に多いトラブルは、提示されたシミュレーションに関するものです。
たとえば、「実際の発電量がシミュレーションの半分ほどとなり、パネルの移動を求めたが対応してもらえない」といった事例があります。
<参考>独立行政法人国民生活センター|国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成 30 年度第 2 回)|51頁
他に、太陽光発電システムの施工不良で雨漏りが生じる可能性もゼロではありません。
トラブルを避けるために、シミュレーションや施工が丁寧な業者を厳選しましょう。
住宅設計への影響を把握
太陽光発電パネルの設置は、住宅が重くなり耐震性・構造設計に影響するなど、住宅設計に影響します。
災害に強い家の条件を以下の記事で解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
<関連記事>〈災害大国・日本〉“災害に強い家”15の条件を徹底解説
また、屋根の形状に制約が出るため、間取りに影響が出る可能性もあります。
太陽光発電の設置をご希望の方は、早めに工務店に相談しましょう。